(ブルームバーグ): 米経済について金融市場や企業経営トップの話の一部を耳にする限り、リセッション(景気後退)は差し迫って、不可避であるとの印象を受ける。だが、必ずしもそうではないようだ。

  成長鈍化に伴って景気下降のリスクが高まった一方、労働市場の持続的な力強さや、2兆ドル(約262兆円)余りに上る家計のバランスシートの余剰資金を踏まえれば、近い将来に景気後退に陥る公算は小さいとエコノミストの大半は主張する。

  エコノミストがもっと心配しているのは来年だ。連邦準備制度の利上げキャンペーンの効果が増してくると共に、数十年ぶりの高インフレが余剰資金を浸食すると想定される。

  そうだとしても、景気下降は必然的結果ではない。元連邦準備制度理事会(FRB)当局者で、現在はドイチェ・バンク・セキュリティーズの経済調査グローバル責任者、ピーター・フーパー氏は最初に米リセッションを予想したエコノミストの1人で、来年そうなる確率を70%以上としているが、それを回避する幾つかのシナリオもまだ考えられると話す。

  イエレン米財務長官の言葉を借りれば、リセッション回避には物価抑制を目指す連邦準備制度に幸運と技能が求められる。成功を収めることができるかどうかは当局が制御できない諸力にも左右される。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)やロシアによるウクライナ侵攻を受けたサプライチェーンへのショックに見舞われる中にあって、パウエルFRB議長自身が先に指摘したポイントだ。

  新型コロナ禍とウクライナでの戦争の最悪の経済的影響が過ぎ去ったとの重大な想定に基づけば、金融当局はそれを成し遂げることができるとムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏はみる。

  「リセッションに陥ることなく乗り切るのではないかと引き続き考えている。ただ、リスクは非常に高いため、とてもぎりぎりであるのは明白だろう」と語った。

US Recession Is Avoidable If Fed Is Able to ‘Thread the Needle’(抜粋)

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