(ブルームバーグ): 世界最大の債券市場である米国債市場の行方は、ただ一つの質問の答えがおおむね鍵を握っている。つまり、米国のインフレは既にピークに達したかという問題だ。

  米連邦準備制度が今後も積極的な連続利上げの軌道を堅持する必要があるか、あるいは40年ぶりの急ピッチなインフレの勢いをそぐほど景気が減速する場合には、ペースダウンする余地があるのかトレーダーは自問しており、米国債利回りは先月以降、行きつ戻りつ乱高下した。

  10日に発表される5月の米消費者物価指数(CPI)の数字が、見通しをはっきりさせるために役立つ可能性があり、米国の10年国債利回りが再び低下に転じるか、心理的重要な節目となる3%を上回り5月の高水準を再び試すか、先行きを占う重要な鍵となりそうだ。

  3日発表された5月の米雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びが予想を上回り、景気の力強さの持続が確認された。これを受け、10年国債利回りは一時約8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、2.98%に乗せた。

  労働市場が逼迫(ひっぱく)し、賃金が急上昇する状況で、スワップ市場は6月と7月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標が0.5ポイントずつ引き上げられる見通しを確実に織り込んでいる。

  しかし9月の会合については、そのようなペースを連邦準備制度が維持するのか、米経済をリセッション(景気後退)に追いやることを懸念したり、インフレの沈静化を確信したりする場合に想定される0.25ポイントの利上げにスローダウンするのか、強力なコンセンサスはまだ存在しない。

  ブラックロックのシステマティックマルチストラテジーのポートフォリオマネジャーを務めるジェフリー・ローゼンバーグ氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「インフレの軌道という点で結論はまだ出ていない。それが確実に表れ始めるまで、連邦準備制度がインフレの沈静化という最優先課題に集中することをやめさせることはできない」と指摘した。

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