(ブルームバーグ): 日本銀行の黒田東彦総裁は6日、企業や家計のインフレ予想の上昇や値上げ許容度の変化を持続的な物価上昇へとつなげていくために「揺るぎない姿勢で金融緩和を継続していく」と語った。都内で講演した。

  総裁は企業、家計ともに「物価観やインフレ予想に変化が見られ始めている」とし、「企業の価格設定スタンスが積極化している中で、日本の家計の値上げ許容度も高まってきているのは、持続的な物価上昇の実現を目指す観点からは重要な変化と捉えることができる」との認識を示した。

  消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)は昨年の携帯電話通信料の値下げによる影響が一巡し、4月に前年比2.1%上昇と伸びが加速した。日銀は電気代やガソリンなどエネルギーが中心の上昇で「持続的・安定的」ではないと説明してきたが、総裁は賃上げを伴った前向きな物価上昇につながっていく可能性に講演で言及した。発信に微妙な変化が見られている。

 

  総裁は東京大学大学院の渡辺努教授によるアンケート調査で家計の値上げ許容度が欧米並みに上昇している点を挙げ、「コロナ禍における行動制限下で蓄積した強制貯蓄」が許容度改善につながっている可能性を指摘。家計が値上げを受け入れている間に「良好なマクロ経済環境をできるだけ維持し、来年度以降のベースアップを含めた賃金の本格上昇にいかにつなげていけるかが当面のポイント」とした。

物価・賃金上昇へ好機到来、日銀は金融緩和継続を−渡辺東大教授

  日本経済は依然として感染症から回復途上にある上、資源価格の上昇という所得面の下押し圧力も受けていると説明。「金融引き締めを行う状況には全くない」とし、現在のイールドカーブコントロール(長短金利操作)を柱とする強力な金融緩和を粘り強く続けていくことで「経済活動をしっかりとサポートすることが最優先課題だ」との認識を改めて示した。

  円安傾向が続く為替相場に関しては、急激な変動ではなく「安定的な円安方向の動きであれば、日本経済全体で見ればプラスに作用する可能性が高い」との見解を示した。 

他の発言

安定的2%には賃金・物価上昇の好循環創出が必要毎年2%の物価上昇にはサービス押し上げ寄与が常に2%必要ゼロインフレ・ノルムを変えるポイントは賃金の上昇実質所得・企業収益下押し圧力強まりやすい、景気下支えの必要性が高い円安の恩恵で収益が改善した企業の設備投資増・賃金引き上げが重要2%の物価安定目標は長い目で見て為替の安定に資する

(発言の詳細を追加して更新しました)

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