(ブルームバーグ): 日本銀行の黒田東彦総裁は7日、現在の日本の経済・物価情勢の下で金融緩和を拙速に縮小すれば設備投資など国内需要に一段と下押し圧力がかかり、「2%物価安定目標の持続的・安定的な実現から遠ざかってしまう」との認識を示した。参院財政金融委員会で答弁した。

  当面の金融政策運営については、「現在の強力な金融緩和を粘り強く継続して経済活動をしっかりサポートすることで、企業収益や雇用、賃金が改善する中で物価が緩やかに上昇する好循環を目指す」と述べた。

  消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)は、昨年の携帯電話通信料の値下げによる影響が一巡し、4月に前年比2.1%上昇と日銀が物価安定目標とする2%に到達した。日銀は電気代やガソリンなどエネルギー価格の上昇が主因であり、持続的・安定的な2%目標の実現にはならないとの判断を示している。

  黒田総裁の発言を受けて、ドル・円相場は約20年ぶりの水準となる1ドル=132円台後半まで円安が進んだ。

  総裁は、最近見られたような短期間で大幅な円安進行は企業の事業計画策定を困難にすることを通じて「経済にマイナスに作用し得る」と指摘した。日銀としては引き続き為替変動が経済・物価に与える影響を十分注視していく考えを示した。

  「急激な変動ではなく安定的な円安方向の動きであれば、日本経済全体として見ればプラスに作用する」とも説明。ただ、その影響は業種や企業規模、経済主体によって不均一とし、「家計に対するマイナスの影響あるいは地方の中小・サービス産業に対するマイナスの影響を十分考慮していかなければならない」と語った。

  一方、家計の値上げ許容度が高まっているとした6日の発言について「必ずしも適切な言い方ではなかった」と述べた。総裁は同日の講演で、「企業の価格設定スタンスが積極化している中で、日本の家計の値上げ許容度も高まってきているのは、持続的な物価上昇の実現を目指す観点からは重要な変化と捉えることができる」との見解を示していた。

他の発言

物価安定の使命果たすには何としても2%の安定・持続が必要賃金が3%強上がらないと物価2%の定常続かないコアコアCPIも参考にして金融政策を運営雇用者所得は増加、値上げ許容度に効果もたらし得る日本の強制貯蓄は大規模支出にまだ回っていない金融政策運営は総裁任期との関係で論じられるべきでない財政への信頼き損で金利上昇、金融政策やりにくくなる設備投資・賃金引き上げないと円安のプラス影響波及せずファンダメンタルズ反映すれば急激な円安・円高はないYCCの下で必要な国債買い入れは円滑に行われている指し値オペの応札ゼロは一種のアナウンスメント効果取りあえず市場は沈静化している−金利上昇圧力

(発言を追加して更新しました)

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