(ブルームバーグ): 中国のテクノロジー株を取り巻く環境が好転しつつあるとの見方が広がる中で、DZバンクのマヌエル・ミュール氏は引き続き警戒している。

  ブルームバーグが追跡しているアナリスト70人余りの中で、最初に中国ハイテク銘柄に弱気見通しを示したのが同氏だ。中国当局によるテクノロジーセクターに対する締め付けが弱まる可能性を示す兆しが増える中でも、投資判断を「売り」とし続けている。

中国ハイテク株、痛みはこれから−逆張り奏功したアナリストが予想

  ミュール氏は7日の電子メールで、中国当局が配車サービスの滴滴グローバルに対する調査を終える準備をしているとの報道は「非常に前向き」に受け取られているが、「少し時期尚早で、大きく差別化されていない感じだ」とコメント。「結論に飛び付き、私がカバーしている企業に現在悪影響を与えている他のルールを変更すると見込むことは若干尚早のように思える」と指摘した。

中国当局、滴滴の調査終了準備との報道−ADR急騰

  中国のテクノロジーセクターが底を打った可能性があるという兆候から、米ナスダックのゴールデン・ドラゴン中国指数や香港のハンセンテック指数が3月半ばの安値から急上昇。8日の取引では、中国の国家新聞出版署が60本に上る新たなゲームタイトルの認可リストを公表したとのニュースが買い材料となった。

中国がゲーム認可、今年2度目−テンセント見送りも見通し改善か 

  JPモルガン・チェースのストラテジスト、マルコ・コラノビッチ氏は6日の顧客向けリポートで、中国株はこの1年間売り浴びせがほぼ続いたものの、ついに上昇局面に転じる可能性があるとの見解を示した。

中国株に買い好機到来の可能性−JPモルガンのコラノビッチ氏

  だがミュール氏は同調していない。ハイテク企業が最近発表した収益はこのセクターの問題がしばらく続く可能性があることを示唆していると分析。「売上高の伸びが大幅に鈍化し、利益率は悪化している。フリーキャッシュフローも大きく減った。ファンダメンタルな観点から、まだ強気に転じる理由はないと思う」と主張した。

  同氏は米国預託証券(ADR)の目標株価について、アリババグループは85ドル、JDドットコム(京東)を49.5ドルとし、直近の終値から約20%値下がりするとみていることを明らかにした。

  ミュール氏は弱気見通しを反転させ得るものとして、中国企業の米上場廃止を止める米政府との取り決めや独占禁止ルールの緩和、消費者信頼感と消費支出が大きく上向くことを挙げた。「地合いが変わり、前向きであり続けるためには、言葉よりも多くの行動がまだ必要だ」としている。

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