(ブルームバーグ):

世界経済はウクライナでの戦争によって成長鈍化、インフレ高進、長期にもわたる恐れのあるサプライチェーンへのダメージという「高いコスト」を支払うことになるだろうと、経済協力開発機構(OECD)が指摘した。

  OECDは8日発表した経済見通しで、今年の世界成長率を3%と予想。昨年12月時点の4.5%から下方修正した。加盟38カ国のインフレ率予想は9%付近とほぼ倍増させた。2023年については2.8%への成長鈍化を見込んだ。 

 

  OECDは、ウクライナ戦争のコストはさらに高くなる可能性もあると警告。ロシアから欧州への供給が突然止まるリスクや、高い負債水準と資産価格による金融市場の脆弱(ぜいじゃく)性を指摘した。

  OECDは経済見通しで「世界経済にはここ数カ月に幾つかの重大な変化があった。新型コロナウイルスのオミクロン変異株の世界的な広がりやインフレ圧力の予想以上の持続などだ」とした上で、「しかしながら最大の変化はウクライナ戦争による経済への影響だ」との認識を示した。

  前日に公表された世界銀行と同様の暗い見通しはロシアのウクライナ侵略による経済的な影響がより深く、広範に及び、財政政策と金融政策の適切な設定をより困難にすることを示唆した。OECDは4月には、不確実性を理由に完全な経済見通しを発表しなかったため、ロシアのウクライナ侵攻開始後に詳細な見通しを示したのは今回が初めてとなる。 

  物価急上昇の影響で既に、米国を筆頭に中央銀行は政策引き締めを迫られ、各国政府は支出計画を見直している。

  OECDは、金融緩和措置の縮小は全ての中銀にとって妥当だとしながらも、ユーロ圏については特に慎重を促した。ユーロ圏の物価上昇は主として供給への圧力を反映したものだと分析した。

  「中央銀行はインフレ抑制とパンデミック後の景気回復維持の間で微妙なバランスを取る必要がある。回復がまだ完全でない地域では特にそうだ」と論じた。

  チーフエコノミストのローレンス・ブーン氏は記者会見で、新型コロナに続きウクライナ戦争と相次ぐ衝撃に見舞われていることに言及し、一部の国で経済の供給側が完全には回復していないと発言。「これが長引けば長引くほど、世界のサプライチェーンの混乱は長期化し、投資意欲は後退する」と語った。

  OECDは、インフレが世界各地で生活水準を低下させ、個人消費を冷え込ませるとともに、企業は将来の生産に対する楽観を後退させていると分析。信頼感へのこうした打撃が投資を妨げ、「今後何年にもわたり」供給の重しとなる恐れがあると警告した。 

  ただ、1970年代の石油ショックとの類似性はあるものの、世界がスタグフレーションの瀬戸際にあるかどうかについては慎重な見方を示した。

  当時に比べると主要国・地域のエネルギー依存は低く、中央銀行の枠組みは堅固で独立性も高いと指摘。新型コロナ禍の影響で消費者の貯蓄は積み上がっているとの見解も示した。

  「とはいえ、成長が予想以上に急激に鈍化しインフレ圧力がさらに強まるリスクは明らかにある」と警鐘を鳴らした。

  その他の指摘と主要地域の成長率予想は以下の通り。

欧州はロシア産燃料への依存脱却に苦戦しているため、ウクライナ戦争の長期化や激化によるリスクが最も大きい地域の一つ中国のゼロコロナ政策は引き続き世界経済見通しを圧迫米国の物価上昇は需要過熱に起因しているので速いペースでの金融政策引き締めが可能米成長率予想は22年が2.5%、23年が1.2%ユーロ圏成長率予想は22年が2.6%、23年が1.6%日本の成長率予想は22年が1.7%、23年が1.8%中国の成長率予測は22年を4.4%に引き下げ、23年は4.9%

日本の23年GDPは1.8%増へ、22年の1.7%増から加速−OECD

 

Shock of War Threatens Lasting Consequences on Global Economy(抜粋)

OECD Forecasts US GDP to Grow 1.2% in 2023; +2.5% in 2022、*OECD CUTS EURO-ZONE GROWTH OUTLOOK TO 2.6% IN ‘22, 1.6% IN ‘23、*OECD CUTS CHINA GROWTH OUTLOOK TO 4.4% IN ‘22, SEES 4.9% IN ‘23

(第3段落以下を追加します)

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