(ブルームバーグ): インフレが米国で生理用品市場を直撃している。生きていく上で欠かせない衛生用品だけに、物価上昇で懐に余裕がなくなっている米消費者は「生理の貧困」で一段と厳しい状況に置かれている。

  ニールセンIQによると、生理用ナプキンの平均価格は5月28日までの1年間に8.3%、タンポンは9.8%それぞれ上昇。また、米労働統計局の4月のデータは、シャンプーやシェービング用品も含めたパーソナルケア製品価格の年間上昇率が2012年8月以来の高さとなったことを示した。

  こうした製品の値上がりは特に、40年ぶり高水準のインフレに見舞われている低所得層を苦しめている。毎月必ず必要になる生理用品は買い控えるわけにも値下がりするまで待つわけにもいかないが、連邦支援プログラムの対象でもなければ、大部分の州で免税対象にも入っていない。

  生理用品メーカーが価格に転嫁しているのは、物流と主要原材料コストの上昇分だ。4月の米生産者物価指数(PPI)統計によると、プラスチック樹脂・材料は前年同月比で9.5%値上がり。綿花先物相場は過去1年間に40%急伸、吸収体に使用するフラッフパルプの価格は今月1日までの1年間に25%の上昇となったことが、ファストマーケッツRISIのデータで示された。

  業界で40年近い経験を持つベテランコンサルタント、プリシー・ハンナ氏は「値上がりペースは、これまで目にした中で最も激しい」と述べ、「この段階で人々は『経験したことがない』と言いながら困惑しているだろう」と続けた。

  生理用品を構成する材料もそれぞれが、サプライチェーンの問題を抱えている。プラスチックファイバーや超吸収性ポリマーは石油を原料とするが、その石油はロシアによるウクライナ侵攻の影響などもあって、1年前より70%前後高い。また、生理用品や紙おむつなどを手掛けるメーカーからは製品を薄く快適にしようと、ポリマー需要が拡大しているとハンナ氏は指摘した。

  今回の価格急騰前の段階で既に、5人に2人が生理用品の購入に苦労していると米キンバリー・クラークの21年4月の調査で回答しており、この比率は18年から35%増えた。それは深刻な結果をもたらし得る。低所得層の回答者の3分の1は生理用品が買えず、仕事や学校などに行く機会を失ったとしている。

  ユーロモニター・インターナショナルによれば、米生理用品市場では21年の時点でプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)とキンバリー・クラークの2社が計63.1%のシェアを占めた。P&Gはコメントを控えた。キンバリー・クラークにコメントを要請したが返答は得られていない。

Inflation in Menstrual-Care Products Worsens ‘Period Poverty’(抜粋)

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