(ブルームバーグ):

5月の米消費者物価指数(CPI)は予想に反して幅広い項目で上昇が加速し、前年同月比の伸び率が40年ぶりの大きさを更新した。米金融当局に一段の積極的な利上げを促すとともに、バイデン政権と与党民主党にとって政治的逆風を強める内容だ。

  今回の統計は、インフレがピークに達して落ち着き始めているとの希望的観測を打ち砕いた。記録的な高値で推移するガソリン価格に加え、食品と住居費の上昇にも衰えが見えず、消費者の生活は強く圧迫されている。米金融当局は経済に一段と強いブレーキをかけることを余儀なくされ、そうなると景気後退(リセッション)のリスクも高まる。実際、一部のエコノミストは米経済が来年にリセッション入りする公算は大きいとみている。

  短期金融市場は、FOMCが6、7、9月の会合で0.5ポイントずつの利上げを行うことを織り込んだ。

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米金融当局に強まる圧力

  BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サル・グアティエリ氏は「エネルギーと食料品の価格が落ち着き、金融政策の引き締めによって過剰な需要圧力が和らぐまで、40年ぶりの高インフレに歯止めがかかる見込みはほとんどない」とリポートで指摘。「米金融当局は来週の会合で『わずか』50bp(ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを行うだろうが、予想に反したインフレの上振れが続けば、そのペースを容易に上げる可能性がある」と記した。

  5月CPIでは、生活必需品が引き続き2桁の上昇を記録。エネルギー価格は前年比34.6%上昇と2005年以来の伸びとなった。ガソリン価格は約49%上昇。

  食品は前年比11.9%上昇で、1979年以来の高い伸び率。電気代は12%上昇と2006年8月以来の大きな伸び。家賃は5.2%上昇で、1987年以来の上昇率となった。

  これらのカテゴリーで価格圧力が続くリスクは強まりつつある。長期化するウクライナでの戦争とそれに伴う対ロシア制裁措置の強化、中国での新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)措置、そして干ばつはいずれも食料品とエネルギーの価格押し上げ要因だ。

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バイデン政権に向かい風

  ウェルズ・ファーゴのエコノミスト、サラ・ハウス、マイケル・パグリース両氏はリポートで、「金融政策の引き締めは、世界的な商品価格の高騰や新型コロナ禍後の経済における消費と生活の構造的変化にはあまり役に立たないだろう」と指摘した。

  こうした状況は、11月の中間選挙を控えて支持率低迷に悩むバイデン政権にさらなる苦境をもたらす可能性がある。雇用市場に引き続き明るさが見える一方、数十年ぶりの高インフレは賃金の上昇を上回るペースとなっており、政権に対する国民の信頼感を損ねている。

  別の統計によれば、インフレ調整後の実質平均時給は前年同月比3%減と、昨年4月以来の大きな落ち込みとなった。実質賃金はこれで14カ月連続のマイナス。

  サービス分野で最大の構成要素でCPI全体の約3分の1を占める住居費は前年比5.5%上昇し、1991年以来の伸びとなった。前月比では0.6%上昇と2004年以来の大きな伸び。エコノミストは住宅インフレがピークを付けるのは今年後半になるとみている。

  統計の詳細は表をご覧ください。

(統計の詳細やエコノミストのコメントなどを追加して更新します)

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