(ブルームバーグ): 米国債市場はあたかも金融当局に対し、利上げキャンペーンを強化しなければ約40年ぶりの高水準を更新したインフレとの闘いに敗れると、引き締め加速を催促しているかのようだ。

  インフレ率が既にピークを付けたのではないかとの観測は、5月の消費者物価指数(CPI)の予想を上回る上昇で打ち砕かれた。10日の米国債市場は売りが広がって、金融政策に敏感な短期債を中心に利回りが急上昇した。

  金融市場では7月26、27両日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で米金融当局が0.75ポイントの利上げに踏み切る確率が引き上げられ、米国債売りが加速。バークレイズとジェフリーズのエコノミストは当局が早ければ今週のFOMC会合で同幅の利上げを断行するとの見通しを示した。

  アメリベット・セキュリティーズの米金利取引戦略責任者、グレゴリー・ファラネッロ氏は金融当局が「予断を持たずに対応することが必要だ」とし、「インフレ率はまだピークに達しておらず、年内の残りの毎会合で0.5ポイント利上げが検討対象となる」との見方を示した。

  米国債市場は短期債と長期債の利回り格差が縮小し、5年債と30年債では再び長短逆転(逆イールド)が見られた。当局がインフレ抑制で遅れを取り戻そうとすれば、経済のハードランディングの可能性が増すという厳しいメッセージだ。

  インスペレックスのシニアトレーダー、デービッド・ペトロシネリ氏は「物価統計は極めて気がかりな内容だった。インフレは広範囲に及び、経済に定着している様子が示された」と指摘した上で、「市場の反応はイールドカーブのフラット化であり、それは金融当局によるさらなる利上げの可能性と景気減速のリスクを反映している」とコメントした。

  14、15両日のFOMC会合を巡っては、声明や四半期経済予測の金利予測分布図(ドット・プロット)、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見で、物価やフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標についてどのような長期的見通しが示されるかが焦点となる。

  パウエル議長は5月3、4両日の前回会合後の会見で、0.75ポイントの可能性に関する質問に対し、委員会として積極的に検討していないと返答した。ただ、議長はどのような選択肢も恒久的に排除したわけではなく、機敏な政策運営の必要性を強調した経緯がある。

Treasuries Dare Fed to Step Up Hikes or Risk Inflation Defeat(抜粋)

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