(ブルームバーグ): 「ドル以外は全て売れ」がトレーディングデスクでは合言葉になった。予想以上の米インフレデータを受けて、米連邦準備制度が利上げを加速させるとの観測が強まった。

  トレーダーらは9月までに1.75ポイントの米利上げを予想。これは2回の0.5ポイント利上げと1回の0.75ポイント利上げを意味する。欧州中央銀行(ECB)の利上げ見通しも引き上げられた。

米0.75ポイント利上げ、9月までに実施を市場想定−今週見込む声も

欧州債下落、ECBが0.5ポイント利上げを年内2回行うと市場は想定

  13日の市場でアジア株と欧州株は下落し、米S&P500種株価指数先物は一時2.6%安となった。S&P500種は1月の高値から19%下落しており弱気相場入りが近い。ナスダック100指数の同期間の下げは29%に達している。

  債券市場では2年物と10年物の米国債利回りが逆転し、景気減速懸念を示した。ドイツ2年債利回りは10年余りで初めて1%を超え、イタリア10年債利回りは2014年以来の高水準となった。

米国債市場でリセッションシグナル、2年債と10年債の利回りが逆転

  米国の5月のインフレ率が40年ぶり高水準となり消費者信頼感が過去最低に落ち込んだことで、リスク資産の水準訂正が起きている。米インフレ率がピークを付けたという期待は打ち砕かれた。

  HSBCのマルチアセットチーフストラテジスト、マックス・ケトナー氏は、インフレ高進か成長減速のどちらかを選ばなければならないが、この二者をうまく調整して「軟着陸させるというゴルディロックス的な狭い道筋をたどる可能性は今まで以上に低くなった」と話した。

  モルガン・スタンレーのストラテジストは13日のリポートで、消費者心理の悪化が米株式市場と経済に対する主要な脅威だと指摘。「株式リスクプレミアムは、マージン圧力と需要低下により増している成長リスクを反映していない」と分析した。

  デービッド・コスティン氏らゴールドマン・サックス・グループのストラテジストは、米企業の収益予測は依然として高過ぎるとの見方を示し、さらなる下方修正を予想した。

 

  米国関連資産で売られないのはドルだけだ。ドイツ銀行の為替調査グローバル責任者、ジョージ・サラベロス氏(ロンドン在勤)はリポートで、「ドルは世界的なスタグフレーションヘッジの役割を担っている」と指摘した。

 

 

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