(ブルームバーグ): 世界各地の運用担当者がリセッション(景気後退)時に奏功する市場ヘッジを急いでいる。リスク増大を背景にそうした動きは新型コロナウイルス禍の最も暗い時期以来のペースに加速している。

  急ピッチの金融政策引き締めで米経済が不況に陥るとの懸念が表面化している。トレーダーは株安に対するプロテクションを積み上げ、最悪のシナリオに備えたブラックスワン・ファンドに投資、ドルをロング(買い持ち)にするなど、守りの取引を進めている。

  衝撃的な物価統計を受け、米金融当局に思い切ったインフレ対策を求める圧力が増す中で、1994年以来の大幅な利上げが今や確実視されている。

米0.75ポイント利上げ、9月までに実施を市場想定−今週見込む声も

  みずほインターナショナルのグローバルマクロ戦略責任者、ピーター・チャットウェル氏は「リセッションに備える古典的な取引が全面展開している」と指摘した。

デフォルトに備える

  リセッションを示唆するクレジット市場の指標の1つは2020年以来最大の上昇となった。最もリスクの高い社債発行体のデフォルト(債務不履行)に投資家は備えている。

  高格付け企業とジャンク級企業のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のスプレッドの格差は米欧ともに大幅に拡大している。

ディフェンシブ銘柄

  株式市場も同じような傾向だ。欧州ではディフェンシブ銘柄が景気循環株より選好され、20年7月以来最も大きくパフォーマンス格差が開いている。

プロテクション

  トレーダーは5月にバッファーを縮小させたが、悲観的な心理が強まるにつれ、株式オプション市場でヘッジを再び積み上げている。プットの建玉残高をコールの建玉残高で割ったCBOEプット・コール・レシオはコロナ禍以降で最も高くなった。

  VIXとして知られる指標のオプション指数も13日、3カ月先物を上回る水準に上昇。これは短期の市場見通しを巡る懸念が強まった際に起きる現象だ。 

 

ドル高

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数は13日に4営業日続伸。4日間の上昇率はコロナ禍が始まって以降で最大。

 

追い風

  ウォール街に広がる悲観的な見方は、極端な売りに対する防御を提供する仕組みのブラックスワン・ファンドに追い風となっている。この種の上場投資信託(ETF)で最大規模のカンブリア・テールリスクETF(TAIL、運用資産4億5000万ドル強=約600億円)は資金流入が続いており、今月これまでの運用成績はプラス4.3%と、月間ベースとしてはコロナ禍入り後で最高となる勢いだ。

Traders Pounce on Recession Hedges at Fastest Pace Since 2020(抜粋)

(ヘッジ手段に関する説明やチャートを追加して更新します)

©2022 Bloomberg L.P.