(ブルームバーグ): アジアの新興ヘッジファンドが期待する最良のシナリオの1つは、資産家の張磊氏から薫陶を受けるか、同氏率いる香港の投資会社ヒルハウス・キャピタル・グループで経験を積むことだった。

  だが、そうしたヒルハウス系のファンドは今年に入り失速。多くのファンドで運用成績は2桁台のマイナスとなっている。その元凶は、かつてヒルハウスを成功に導いた中国のテクノロジーや消費者、ヘルスケアといったセクターへの投資だ。

  ブルームバーグが成績を集計しているヒルハウスの次世代ファンド9本で、マイナスを免れているものはない。投資家に送付されたニュースレターによると、フランチャイズ・キャピタル・マネジメントは4月までの1年2カ月で3分の2の価値を失った。事情に詳しい複数の関係者によれば、ブリリアンス・アセット・マネジメントの旗艦ファンドは1−4月のリターンがマイナス27%で、同社のリテールファンドは2021年2月のピークから今月2日までマイナス47%の成績だ。コアビュー・キャピタル・マネジメントと スノー・レイク・キャピタルもマイナスだった。

  中国関連のエクスポージャーが大きいファンドの大半が苦しい状況にあるが、ヒルハウス系ファンドは特に大きな打撃を受けており、1−4月にその一部はユーリカヘッジ・アジア・ヘッジファンド指数(9%低下)以上に低迷した。

  ニューヨークでダイナミック・ベータ・インベストメンツを創業したアンドルー・ビア氏は「一部のヘッジファンドはハイテク株の好機を早期に捉えたが、残念ながら状況が暗転しても多くがそうした銘柄を長く持ち過ぎていた」と述べた。

  JDドットコム(京東)や美団、シー、テンセント・ホールディングス(騰訊)、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズなどへの投資が奏功し、ヒルハウスは運用資産が21年末時点で1060億ドル(約14兆3000億円)に膨らみ、アジア最大級の資産運用会社となっていた。

  中国の規制強化や中国企業の米上場廃止を巡る懸念で、電子商取引から教育に至る中国銘柄が打撃を受けた。世界的なハイテク業界の混乱も重なり、ナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数は21年2月以来67%下落。今年3月に9年ぶりの安値を付けた後、やや値を戻している。

  ヒルハウス系のファンドは好未来教育集団(TALエデュケーション・グループ)や新東方教育科技集団(ニュー・オリエンタル・エデュケーション・アンド・テクノロジー・グループ)のほか、中国の化粧品会社、逸仙などに投資している。逸仙の株価はこの1年4カ月で90%余り下落し、ナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数の構成銘柄で最大級の値下がり。

  ユーリカヘッジのデータによると、日本を除くアジアのヘッジファンドは1−4月に約36億ドルの純流出となった。21年通年は81億ドルの純流入だった。

  ブリリアンスとフランチャイズの担当者に電子メールで何度かコメントを求めたが返答はなかった。ヒルハウスとコアビュー、スノー・レイクはコメントを控えた。

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