(ブルームバーグ): 中国の工業生産は5月に予想に反して増加した。一方、新型コロナウイルス感染対策の制限措置が消費者心理の重しとなる中で、不動産市場の低迷は続き、小売売上高もなお減少するなど、強弱が入り交じる結果となった。

  5月の工業生産は前年同月比0.7%増。市場予想中央値は0.9%減少、4月は2.9%減だった。小売売上高は前年同月比6.7%減少。予想は7.1%減、4月は11.1%減っていた。調査ベースの失業率は5.9%へと低下したものの、若年層の失業率は18.4%に上昇し、過去最悪を記録した。

  1−5月の固定資産投資は前年同期比6.2%増。市場では6%増加と見込まれていた。

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  上海市では一部のコロナ規制が5月に緩和された。工場が徐々に操業を再開し、物流面の障害も和らいだが、定期的なコロナ検査など厳しい防疫措置がなお消費者の活動を妨げている。

  モルガン・スタンレーの中国担当チーフエコノミスト、邢自強氏はブルームバーグテレビジョンで、「成長率が底入れし、持ち直しは始まったばかりだ」と指摘。「これはまだ非常に不完全であり、平坦な回復ではないが、最悪期は過ぎたという印象だ」と述べた。

  吉林省や上海市など自動車製造の集積地で操業が再開され、自動車セクターが持ち直した。5月の自動車生産は199万台と、4月の128万台から増加。発電は前年同月比3.3%減少する一方、石炭生産は10.3%増加した。

  不動産セクターは引き続き苦戦。5月の住宅販売は前年同月比41.7%減、不動産開発投資は7.8%減少した。サービス業も依然厳しく、飲食業の売上高は4月の22.7%減から改善したとはいえ、5月も21.1%減少した。

  国家統計局の付凌暉報道官は記者会見で、中国経済は「5月に良好な回復の勢いを示した」と説明。「中国の防疫状況は好転しつつあり、生産や需要が緩やかに持ち直し、雇用や物価も全般的に安定、主要指標はわずかながら改善した」と話した。

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  上海や北京市ではコロナ感染がまだ続き、抑え込みに向けて規制が再導入されており、中国経済の回復を巡っては先行き不透明感が強い。5月の経済活動が幾分抑制され、6月の持ち直しが弱い兆しもあり、景気の重しとなる見込み。政府が5.5%前後に設定した今年の成長率目標の達成もさらに遠のいている。

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