(ブルームバーグ): 米連邦公開市場委員会(FOMC)が15日に0.75ポイントの大幅利上げを決めたことに関し、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は会合後の記者会見で、食料品とエネルギーの最新の物価統計や家計のインフレ期待を指摘した。

  米連邦準備制度を含む各国・地域の金融当局はかねて、基調的なインフレ動向を把握する上で、物価統計のうち変動の大きい食料品とエネルギーを除くコア指数を重視してきた経緯がある。

  しかしパウエル議長は、ロシアによるウクライナ侵攻などを背景とした食料品やエネルギーの価格高騰について、家計のインフレ期待に浸透する可能性があると指摘した。インフレ期待の不安定化は当局にとって警戒すべき状況であり、金融政策決定でこの2つの項目の物価動向の重要度が増しつつあることを意味する。

  米労働省が10日に発表した5月の消費者物価指数(CPI)のうち、総合CPIは前月比1%上昇(市場予想0.7%上昇)、コアCPIは0.6%上昇(同0.5%上昇)となった。

  コアインフレ率は将来のインフレを予測するのにより良い手掛かりであるため、当局として注視しているとしつつも、一般の人々が通常目するのは全項目を対象とした総合価格指数だと議長は説明。「総合価格指数が高水準にあることから、インフレ期待は非常に危険な状態にある」と語った。

  パウエル議長はまた、10日発表のミシガン大学調査に言及。同調査では、5−10年先のインフレ期待(速報値)が2008年以来の高水準を記録した。さらに、FRBが同大調査なども盛り込んでまとめている共通インフレ期待(CIE)指数を巡り、「長期にわたり極めて平たんな状態が続いた後、上昇している。当局はこれを注視し、『何か深刻に受け止める必要があるもの』と考えている」と議長は話した。

  CIE指数への議長の言及は、当局者が実際のインフレ率の短期的な変動だけでなく、インフレ期待の短期的な指標に一段と重点を置きつつあることを示唆する。

  これを詳しく見ると、まず大半の消費者調査では、向こう1年先ともっと中期(ミシガン大は5−10年先、ニューヨーク連銀は3年先)のインフレ期待の数値をまとめており、ミシガン大、ニューヨーク連銀のいずれの場合も最新調査で1年先(それぞれ5.4%、6.6%)が中期(同3.3%、3.9%)よりも高いことが挙げられる。

  こうした中でFRBは最近、CIE指数に変更を加え、1年先の数値のウエートを増やす一方、5−10年先のウエートを減らしており、これが同指数のこのところの上昇の一因であると、エバコアISIのクリシュナ・グハ、ピーター・ウィリアムズ両氏は分析している。

  議長は次回会合で0.75ポイントないし0.5ポイントの追加利上げが決定される可能性が高いと説明するなど、金融当局はタカ派傾斜を強めているが、その背景にはこうした一連のシフトがあるとも考えられる。

Fed Runs Out of Patience as It Homes In on Short-Term Inflation(抜粋)

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