(ブルームバーグ):

ガーランド米司法長官は来週欧州を訪問し、ロシアのプーチン大統領とその側近への圧力を強める方法について協議する。

  プーチン大統領は、米国とその同盟国が科した前例のない制裁をロシアは乗り切れると言明。制裁の結果、欧州は今年4000億ドル(約54兆円)を失う見通しだとも主張した。ただ、ロシアも近年まれに見る厳しい経済縮小に見舞われると見込まれている。

  ジョンソン英首相は17日、キーウを電撃訪問し、新たな軍事訓練プログラムをウクライナに提供するとゼレンスキー大統領に伝えた。首相のキーウ訪問は戦争開始以降で2回目。前日にはドイツとフランス、イタリアの首脳がキーウを訪れていた。

  ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。

欧州のガス配給制に現実味

  ロシアが欧州向けの天然ガス供給を削減した。同国が主要な供給網を完全に遮断した場合、欧州では来年1月までに供給が底を突く恐れがあると、コンサルティング会社ウッド・マッケンジーは指摘した。

ガーランド米司法長官、欧州訪問へ

  ガーランド米司法長官は米EU司法相・内相会議に出席するため22−23両日に欧州を訪問する。米司法省が明らかにした。ロシアに圧力をかけるため、同省は同国のオリガルヒ(新興財閥)の調査と資産差し押さえに取り組んでいる。

  ガーランド氏は、「ウクライナに侵攻したロシアに対抗し、より大きな代償を支払わせるための協調した取り組み」について欧州の当局者と個別に会談する予定。ウクライナでの戦争犯罪を可能にしている犯罪的行為を行う個人の責任を追及することが含まれるとした。

  アデエモ米財務副長官は、ロシアの海外資産凍結で支持を求めるため、トルコとアラブ首長国連邦(UAE)を来週訪問する計画。

プーチン氏に盟友カザフの大統領が異例の反対

  プーチン大統領は17日、サンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムで、ウクライナでの軍事作戦は国際法の下で合法的なものだと語り、戦争を正当化しようとしたが、近くに座っていた盟友カザフスタンのトカエフ大統領がこれに異を唱える予想外の出来事があった。

  プーチン氏は、ウクライナ東部の親ロシア派武装勢力が一方的に独立を宣言した「ドネツク人民共和国」および「ルガンスク人民共和国」のロシア系住民を守ることが目的だと主張。これと同じ意見かとの司会者の質問に対し、トカエフ大統領はカザフとしてはこれらを国家としては認めないと答えた。

G7、ロシア産エネルギーに上限価格設定を議論−関係者

  主要7カ国(G7)はロシアからのエネルギー輸入に上限価格規制を設定する案について準備を進めている。事情に詳しい関係者が明らかにした。ロシアのエネルギー輸出収入と価格を抑える狙いで、首脳間で議論される可能性もあるという。

  非公開の協議だとして匿名を条件に語った関係者によると、6月26−28日にドイツのバイエルン州で開かれるG7サミットの準備の一環として、メンバー国の首席交渉官がこのメカニズムを探っているという。ロシア産エネルギーに上限価格設定する案はイタリアのドラギ首相がこれまでに唱えているが、市場をゆがめる恐れや報復のリスクがあるとして複数の国は問題視している。

英首相、キーウを電撃訪問

  ジョンソン英首相は戦争開始以降で2回目のキーウ訪問を果たし、ウクライナに新たな軍事訓練プログラムを提供するとゼレンスキー大統領に伝えた。英首相府が発表した。このプログラムでは120日ごとに最大1万人の兵士に訓練を施すという。

  ジョンソン首相が国内問題で圧力にさらされている際、首相府はウクライナに関連する首相の活動を大々的に発表する傾向がある。今回は15日に倫理担当の首相顧問が劇的な形で辞任していた。首相府は全く関連はないと否定している。

 

ロシアは制裁を生き残ることができる、プーチン氏主張

  ロシア当局は「経済を徐々に安定化させつつある」と、プーチン大統領がサンクトペテルブルク国際経済フォーラムで語った。一部の欧州諸国は「特別軍事作戦」を行っていないが、高いインフレ率を記録していると指摘。「プーチンのインフレ」と呼ばれることもあるが、ロシアにその責任はないとし、世界的な物価上昇は米国や欧州の政策が原因だと非難した。

ウクライナの春まき、作付面積は予想下回る

  ウクライナ農業省によると、国内農家の春まきが終了し、トウモロコシやひまわりなど穀物の作付面積は1340万ヘクタールと、予想の1420万ヘクタールを下回った。前年比では21%減で、戦争で同国農業セクターが被っている打撃が浮き彫りとなった。

ドイツからフランスへのガス供給が停止

  ロシアが天然ガスの供給をさらに削減したため、ドイツからフランスへのガス輸送が停止された。欧州諸国が国境を越えたエネルギーの融通を維持できるのか試されている。

  フランスはドイツから15日以降全くガスを受け取っていないと、ドイツ政府が確認した。欧州中部に流入するガスが減ったことを理由に挙げた。ロシアは欧州にガスを輸出する主要パイプライン「ノルドストリーム」での供給を削減し、独仏両国は流入するガスの量が減少したと認めた。ハーベック独経済相は市場を動揺させ、価格を押し上げようとしているとしてロシアを非難している。

 

イタリア、ガス利用で緊急計画発動も−ロシアの供給回復しないなら

  ロシアのガスプロムがガス供給を来週半ばまでに回復させない場合、イタリア政府は国内市場に対し緊急計画を発動する可能性がある。事情に詳しい関係者が明らかにした。これにより、気候変動対策のため2025年で閉鎖される予定だった石炭工場6カ所で生産が引き上げられる可能性もあるという。緊急計画には企業にエネルギー生産を自発的に抑えるよう要請することも含まれ得るが、工業生産には影響しないだろうと、関係者は語った。

ウクライナ、ロシア人入国に査証要求へ

  ウクライナはロシア人に対する無制限の入国許可を打ち切り、7月1日から査証を求めると、ゼレンスキー大統領がメッセージサービス「テレグラム」の自身のチャンネルで明らかにした。

欧州委員会、ウクライナにEU加盟候補国の地位付与を勧告

  欧州委員会は、ウクライナに欧州連合(EU)加盟候補国の地位を付与することを勧告した。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。実際の加盟までには長い年月を要するが、加盟に向けて象徴的な動きになる。

欧州委員会、ウクライナにEU加盟候補国の地位付与を勧告−関係者

欧州ガス価格、週初から60%上昇

  欧州の天然ガス価格は週初から約60%上昇し、ロシアのウクライナ侵攻開始以降で最大の週間上昇率となる勢い。ロシアの大幅な供給削減が欧州全体を揺るがしている。指標の先物価格は17日に一時8.4%高。イタリアのエネルギー大手ENIは17日、ロシアのガスプロムに要請した半分のガスしか供給されないとの通知を受けたことを明らかにした。前日も供給は要請の約3分の2にとどまっていた。

 

Russia’s Energy Tactics Spur Push for Price Cap Talks at G-7 (1)(抜粋)

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