(ブルームバーグ): 英国民が欧州連合(EU)離脱を決めてから6年を経ようとする今、市場参加者は英国が危機的状況にあるとみている。「マーケッツ・ライブ(MLIV)パルス」の最新週間調査が示した。インフレ加速の中で英経済がリセッション(景気後退)に向かい、ポンドは歴史的安値となりそうだ。

  538人が参加した13−17日に行われた今回の調査では、英国の今後について弱気な見方を示した回答者が4分の3近くに上った。生活費が急上昇する一方で、経済成長は鈍化。最大の貿易パートナーであるEUとの関係も悪化している。1年以内のリセッション入りを想定しているのは5人に4人を超え、大半がポンドが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期に付けた安値に戻るリスクがあると答えた。

  漠然とした不安が英国を覆っている。ジョンソン首相に対する保守党の不信任投票は否決されたが、英国とEUの通商を巡る対立は再び激化している。サプライチェーンの混乱やウクライナでの戦争が押し上げている生活費は、成長懸念と共に一段と大きな問題となりつつある。

  「英国は最悪期の一つに入っているようだ」とジャナス・ヘンダーソンのポートフォリオマネジャー、オリバー・ブラックボーン氏(ロンドン在勤)は指摘。「他の主要地域よりスタグフレーションの傾向が強く、インフレ率も高めだ。物価高が一段と長期化し、2023年の経済成長も弱まるとの見通し」を抱えているのが今の英国だと述べた。

  ポンドは年初来で約10%下げ1ポンド=1.22ドルとなっている。1.15ドルにさら下落しパンデミック初期に付けた数十年ぶりの安値水準に近づくか、それとも1.35ドルに反発するかとの問いに対しては、約76%が弱気見通しを支持した。

  イングランド銀行(英中央銀行)は16日、5会合連続の利上げを発表。利上げ幅については、金融政策委員会(MPC)内で意見が割れたが、調査参加者の間でも見解は異なる。

英中銀、政策金利を1.25%に引き上げ−必要ならより大きな動きも 

  JPモルガン・アセット・マネジメントの欧州担当チーフ市場ストラテジストのカレン・ウォード氏は、英中銀の動きは遅過ぎ、今後一段の利上げが必要になる可能性があると分析。一方で、英商業会議所の調査責任者デービッド・バリアー氏は「景気見通しが弱まる中での利上げ決定は企業の懸念を強める」と述べた。

  英10年国債利回りは現在2.5%をわずかに切る水準だが、MLIV調査では約3分の2が1.25%に下がる前に3.25%に上昇すると想定している。

  英国株の指標FTSE100指数は年初来で5%安と、世界株の動きを示すMSCIワールド指数の23%安に比べれば、小幅な下落だ。だがMLIV調査では、57%はFTSE100指数が年末までMSCIワールド指数より悪い成績で推移すると回答。FTSE100指数が値下がりして今年を終えるとの答えは72%に上った。

  過半数の回答者が23年末までに総選挙が行われるとみており、来年半ばまでジョンソン首相がその職にとどまっていることを疑問視する見方も半数余りに達した。ダン・アンド・ブラッドストリートのトマソ・アクイランテ英首席エコノミストは「企業も政府も不確実性に悩まされ続けている。EU離脱がショックを増幅させている可能性がある」とコメントした。

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