(ブルームバーグ): 米国で求人広告を出しても長い間、応募者を集められずにいる企業がここにきて、その役職が本当に必要なのか急に自問し始めている。

  金利が急騰し株式相場が大幅に下落し、リセッション(景気後退)入り懸念が高まる中で、経営者は人員を削減し、かつての猛烈な採用計画を巻き戻している。米国の民間企業で2大雇用主であるアマゾン・ドット・コムとウォルマートは、自然減を通じ時間給労働者を減らしていることを明らかにしている。失業保険新規申請者数はまだ低水準ながら、4週移動平均では若干増えている。

  求人検索サイトのインディードのデータによれば、求人のペースはここ数週間に鈍化。大きな打撃を受けたテクノロジー業界だけにとどまらず、接客業の求人も、新型コロナウイルス禍の前の水準をまだ上回っているとはいえ減速している。ますます神経質になっている企業幹部は採用プロセスの歩みを落としている。彼らは採用の抑制や凍結とまで言うことには及び腰で、「事業プロセスの見直し」といった業界用語を使って現状を説明している。

  幹部採用・コンサルティング会社、コーン・フェリーの幹部、デービッド・バイド氏は「採用凍結については話したがらないが、彼らがしているのは精査をさらに増やすことだ。こうした仕事を承認できるのは最高経営責任者(CEO)だけだと言っているようなものだ」と指摘。「こうしたひそかなスローダウンが見られる」とコメントした。

  確かに、依然として多くの求人があり、資格要件を満たした候補者は今のタイトな労働市場では引っ張りだこだ。しかし、人材派遣会社シエロの北米社長、グレッグ・サマーズ氏によると、今の職場から人材を説得して引き離すことは一段と難しくなっており、欠員が補充されない状況が長期化しているという。

  人材派遣の専門家の話では、数カ月や数週間前までは給料アップやより柔軟な勤務形態を求めて退職することに乗り気だったホワイトカラーの労働者が今は、より不安定な環境で転職する価値があるかどうか考え直しているという。

  コンファレンス・ボードが5月中旬に最高経営責任者(CEO)など企業幹部750人を対象に実施した調査では、主要な活動地域でリセッション(景気後退)が来年末までに起こると予想したのは6割余りに上った。

  コンサルティング会社マーサーの幹部、メリッサ・スウィフト氏は「われわれが協力する事実上全ての組織は今、とんでもない数の求人票を出している。だが非常に長期にわたって求人は満たされていない。これは危機であると同時に、こうした求人の一部は必要ないかもしれないことを示す興味深い兆候でもある」と指摘した。

Bosses Quietly Abandon Open Jobs, Asking If They’re Even Needed(抜粋)

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