(ブルームバーグ):

5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比2.1%上昇した。伸び率は4月から横ばいで市場予想と一致した。ウクライナ情勢の悪化を受けたエネルギーと食料品の値上がりや円安が全体を押し上げ、2カ月連続で日本銀行が物価目標とする2%を上回った。総務省が24日発表した。

  エネルギー価格は17.1%上昇と引き続きコアCPI上昇への寄与度が最も大きかった。ただ、政府のガソリンや軽油、灯油を対象とした補助金による効果で、4月の19.1%上昇から伸びが鈍化した。一方、生鮮食品を除く食料は2.7%上昇と4月の2.6%上昇から伸びが拡大した。

  4月は昨年の携帯電話通信料の大幅値下げの影響がはく落し、エネルギーや食料の価格も上昇したことから、3月の0.8%上昇から一気に伸びが加速。消費税率引き上げの影響を除くと2008年9月以来の高水準だった。

  日銀の黒田東彦総裁は17日、金融緩和の維持を決めた後の記者会見で、コアCPIは当面2%程度で推移した後、「エネルギーの押し上げ寄与の減衰に伴い、プラス幅が縮小していく」との見通しを示した。政策運営については「賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定目標を安定的・持続的に実現できるよう、金融緩和を実施していく必要がある」と述べた。

  日銀が海外中央銀行による相次ぐ利上げの潮流に乗らなかったことを受けて、為替市場では円売りが強まり、22日には一時1ドル=136円71銭と24年ぶりの安値を更新した。円安が物価上昇に拍車を掛ける状況で迎える7月の参院選は、日銀の金融政策も争点となっている。

エコノミストの見方

農林中金総合研究所の南武志主席研究員:

引き続きエネルギー、食料の輸入インフレが中心となっている。それ以外のところは価格転嫁がまだ本格化していないこの物価高で消費がそがれるようなことがあると経済にとって悪影響が出てくる。日銀のロジックとしてはインフレがまだどのくらい広がるか分からないので現状維持ということになる政府の物価高騰対策は、ガソリン代の上昇抑制などある程度効果はあると思うが限定的とみている。今年中にコアCPIは2.5%くらいまでいってもおかしくない海外勢は日銀の政策変更の思惑に賭けたいと思っているだろう。しかし黒田総裁はあれだけ緩和継続と言っているんだから、何かここで変更すると信認の問題に関わる

野村証券の髙島雄貴エコノミスト:

食料インフレが進んだ一方、エネルギーの伸び率は鈍化した。政府の燃料油激変緩和対策事業の効果としてガソリン価格が低下していることが大きい7−9月期のコアCPIは2.6%まで上昇するとみている。エネルギーは下がっていくが、食料の上振れ要因が大きい食料インフレも世界的なコモディティー高の影響でコストプッシュ要因でのインフレなので、景気にとって押し下げ要因の悪いインフレ需要を高めるために行っている金融緩和を解除するのは、日銀は判断しにくい

詳細(総務省の説明)

5月の消費者物価は全ての系列で前年比上昇率が横ばいとなり、内容もエネルギーと食料が押し上げ要因になっている構図に変化はない。円安の進行は一般的に輸入品の価格上昇に影響が出ているただエネルギーについては前月よりも前年比上昇率は縮小。電気代は燃料費調整制度の上限に達した電力会社があり、昨年の同時期よりも上昇が緩やかになったガソリンは政府による補助金の影響が押し下げに寄与しているが、4月の原油価格が下落した影響もある。補助金の影響がどの程度を占めるかは正確には分からない生鮮食品を除く食料が前月よりも伸び率を高めた要因は、チョコレートや国産チーズの値上げ。包装費の値上げなどが影響した。前年比2.7%上昇は2015年3月以来、7年2カ月ぶり家庭用耐久財の伸び率拡大はルームエアコンや自動車用タイヤ、電球・ランプなどの値上がりが要因。エアコンには中国のロックダウンで物流が滞った影響が出ている

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