(ブルームバーグ): 米国と欧州の投資銀行は大型レバレッジドバイアウト(LBO)に絡んで総額数十億ドルの損失に見舞われそうだ。市況悪化で価値が大幅下落している高リスクの企業債務の処分に苦戦している。

  最大の打撃は、シトリックス・システムズの株式非公開化に伴うもので10億ドル(約1350億円)前後に上る可能性がある。この案件はバンク・オブ・アメリカ(BofA)やクレディ・スイス・グループ、ゴールドマン・サックス・グループなどの金融機関が1月にまとめたもの。ディールと各銀行の引き受け条件について知る複数の関係者が匿名を条件に話したところでは、これらの主要3行はいずれも、1億ドルを超える損失に直面する可能性があるという。

  米連邦準備制度が数十年ぶりのハイペースで利上げを進める中、信用リスク・プレミアムは、銀行が低金利の全盛期にプライベート・エクイティー(PE、未公開株)投資会社と交渉した水準をはるかに超えて上昇している。

  欧米の引受業者は現在、LBOファイナンスで推定800億ドル相当のローンや社債を帳簿に抱えていると見られる。ジャンク債市場が事実上、凍結状態にあるため、売却が難しい。2008年の金融危機前に2000億ドルを超えていたのに比べれば今は控えめな水準だが、金利上昇で償却が増え、利益の足かせになるとの懸念が浮上している。

  クレイマー・レビン・ナフタリス・アンド・フランケルで銀行などに助言を行うリチャード・ファーレー氏は「連邦準備制度理事会(FRB)に誰も救済するつもりはないことが、今回違う点だ」と述べた。

  ドイツ銀行が主幹事を務めたインターテープポリマー・グループ買収関連のハイイールド債の起債では、発行価格が額面1ドルに対し82セントと、新発ジャンク債ではここ20年で最大級の大幅ディスカウントとなった。

  景気循環に比較的敏感でないとされる企業には大幅なディスカウントは不要かもしれないが、信用状況が驚くほど変化しなければ、シトリックスの事例のように借り手にとって極めて有利な条件で引き受けられたディールに関連して損失が急増する恐れがある。

  BofAとクレディ・スイス、ゴールドマンの担当者はコメントを控えた。

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