(ブルームバーグ): 米連邦最高裁は24日、人工妊娠中絶の権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆した。歴史的な判断を下し、憲法で保障された中絶の権利を否定した。

  今回の判断では判事のイデオロギーが色濃く表れ、共和党が指名した判事は6人全員が妊娠15週以降の中絶を禁じるミシシッピ州法を合憲と認めた。さらに、このうち5人はロー対ウェイド判決および同判決により確立された憲法上の中絶の権利を覆す判断を支持した。

  中絶の権利は米国の世論を二分する問題であり、今回の最高裁判断は大きな影響を及ぼすとみられる。中絶権を支持するガットマッハー研究所によると、26の州が中絶を禁止または制限することが「確実か、可能性が高い」という。  

  今回の結果は、ポリティコが5月に入手したとして報じた最高裁判事による多数派意見の草稿を確認する格好となった。

  ロー対ウェイド判決を覆す判断を示した多数派はサミュエル・アリート、クラレンス・トーマス、ニール・ゴーサッチ、ブレット・カバノー、エイミー・コニー・バレットの各判事。ジョン・ロバーツ最高裁長官はミシシッピ州法を合憲としたが、ロー対ウェイド判決を覆すことには慎重な見解を示した。

  ロー対ウェイド判決が覆ることを大半の有権者が望んでいなかったことが世論調査で一貫して示されており、民主党は11月の中間選挙で人工中絶の権利を大きな争点にしたい考えだ。民主党が高インフレとバイデン大統領の低支持率の影響を弱めるのを後押しする可能性がある。

  バイデン大統領は24日にホワイトハウスで、「ロー対ウェイド判決が覆った今、非常に明確にしなければならないのは、この国の女性の健康と生命が今やリスクにさられているということだ」と述べ、最高裁判断を非難した。

  今回の判断を受け、テキサスとミズーリ州は直ちに両州での中絶が違法だと宣言した。一方、ニューヨーク州など民主党が主導する州は生殖に関する権利強化を表明。カリフォルニア、オレゴン、ワシントン州は共同声明を発表し、中絶に関する権利を保護し他州の住民が処置を受けるのを認めた。

  今回の重大な判断は中絶に関する法律が今後、主に州ごとに決まることを意味する。従って、女性が中絶を受ける権利があるかどうかは住む場所で決まることになる。

 

(第8段落目以降に州ごとの対応などを追加して更新します)

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