(ブルームバーグ): 米連邦準備制度の積極的な金融引き締めが招いたリスクオフによる暗号資産(仮想通貨)のパニック売りは、2008年の世界金融危機につながったデリバティブ(金融派生商品)のもつれにやや似た複雑な相互関連性を浮き彫りにした。

  ビットコインは過去最高値から70%近く下落し、オルトコインの多くも急落。ドルとのペッグが外れたステーブルコイン「テラUSD(UST)」の崩壊は、400億ドル(約5兆4000億円)相当のトークンが実質的に無価値となる取り付けにつながった。融資の裏付けとして十分と見なされていた仮想通貨の担保価値は、大幅に切り下げられたか現金化できない状態となっており、ヘッジファンド1社と幾つかの貸付業者の将来を不透明にしている。

  暗号資産のメルトダウンを招いた種は、強欲やレバレッジ乱用、「価格は上がり続ける」との思い込みなど、ほぼ全ての資産バブルに共通するもので目新しさはない。ただ、今回の暗号資産急落は、境界線があいまいで規制をほとんど受けていない新しい業界において問題が一斉に表面化したことで起きたものだ。

仮想通貨の流動性問題、業界内で影響広がる−「テラ」崩壊など契機

  仮想通貨はこれまでも大幅な下落局面を何回か経てきたが、市場が拡大し一般投資家からウォール街に至るまで広範囲に採用されつつあることで、かつてよりリスクが増している。タレントで実業家のキム・カーダシアンさんが宣伝していた仮想通貨の急落で損失を受けたと主張する投資家が訴訟を起こしたほか、確定拠出年金(401k)に仮想通貨を含めるフィデリティの計画は一世代にわたって影響を及ぼす可能性がある。

  仮想通貨市場の時価総額は昨年11月には約3兆ドルに膨らんでいたが、その後の急落でピーク時の3分の1程度に落ち込んでいる。

  マイク・ノボグラーツ氏創業の仮想通貨投資会社ギャラクシー・デジタル・ホールディングスのトレーディング担当共同責任者、ジェーソン・アーバン氏は「今回は趣が異なる」とインタビューで発言。ギャラクシーは仮想通貨上昇で大きな恩恵を受けたが、テラに最も大々的に投資した企業の一つでもあり、「まさに自らの成功の犠牲となった」と指摘した。

ノボグラーツ氏、沈黙破る−テラUSDは「失敗した大きな構想」

  テラが暗号資産の世界におけるベアー・スターンズだとすれば、リーマン・ブラザーズ破綻のような状況が間近に迫っているのではないかと懸念する声は増えている。08年の金融危機では、追加証拠金の要求に業者が応じられなくなったことが初期兆候だった。同様の事態は仮想通貨業界でも今月起きている。

  セルシウス・ネットワークとバベル・ファイナンス、スリー・アローズ・キャピタルは、いずれもデジタル資産価格の急落で大きな問題が表面化。業界内の相互依存が流動性危機の引き金となっている。

仮想通貨市場で激動の1週間、トレーダーは次の危機を警戒

 

Crypto’s $2 Trillion Shakedown Portends Lehman Moment(抜粋)

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