(ブルームバーグ): 米クリーブランド連銀のメスター総裁は29日、金融当局として長期の予想インフレ率の上昇に気を緩めてはならず、物価上昇圧力の高まりを抑制するため強力に行動すべきだとの考えを示した。

  メスター総裁は欧州中央銀行(ECB)がポルトガルのシントラで開いている年次フォーラムでの発言テキストで、実際にはインフレ期待が十分に安定的であるのに予想インフレ率が上昇していると誤って想定した場合よりも、インフレ期待が安定的でないのに予想インフレ率が十分安定的と誤って想定した場合の方が、コストが大きくなるとする米金融当局の研究結果に言及した。

  総裁は「持続的な高インフレはインフレ期待が不安定化しかねないリスクの増大につながるとの研究と合わせ、こうしたシミュレーション結果は、当局者が長期期待の上昇に気を緩めてはならないことを強く示している」と話した。

  米金融当局は14、15両日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で1994年以来となる0.75ポイントの大幅利上げに踏み切った。当局者は会合に先立ち0.5ポイント利上げ検討の可能性を示唆していた。

  しかし、ミシガン大学が10日に発表した6月の消費者マインド指数速報値で5−10年先のインフレ期待が3.3%と14年ぶりの高水準を記録したことが示され、当局は急きょ軌道修正した。なお、ミシガン大が24日に発表した同指数確報値では、5−10年先のインフレ期待は3.1%に下方修正された。

  メスター氏は長期の予想インフレ率が上昇しており、ガソリンや食料品の価格が高止まりしていることから、こうした上昇は続く可能性があると指摘。「現在のインフレ動向は非常に困難なものだ」とした上で、「中央銀行はインフレ沈静化の行動を取るのに断固たる姿勢で意図的に臨む必要がある」と強調した。

  さらに、「金融当局は常に供給面のショックを受け流すべきだとする従来の見解にも疑問が投げ掛けられている」とし、「幾つかの状況では、このようなショックはインフレ期待の安定性を損なう恐れがあり、政策措置が求められる」と語った。

  メスター氏はまた、29日のCNBCとのインタビューで、米金融当局は利上げを「開始したばかり」だと発言。政策金利を年内に3−3.5%へ引き上げ、「来年は4%を若干上回る」水準が望ましいと述べ、利上げがリセッション(景気後退)を招くとしても物価上昇圧力を抑える考えを示した。

メスター総裁、米利上げは「開始したばかり」−インフレ抑制に注力

Mester Says Fed Should Act Forcefully to Curb Price Pressures(抜粋)

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