(ブルームバーグ): 2022年度7−9月期(第2四半期)の日本市場は、日本銀行の政策決定会合に向けて大規模緩和政策の修正を促す動きが債券市場で予想される一方、為替市場ではこれまでの急激なドル高・円安の流れが米景気後退懸念から逆転する展開もありそうだ。過熱するインフレを抑制するため米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが行き過ぎて景気後退を招かないか、市場関係者は懸念を募らせる。

  パウエルFRB議長は、堅調な労働市場を維持しながらインフレを抑制できるとしたが、困難さが増したことを認めた。経済指標予想からの上振れ・下振れを示すブルームバーグ経済サプライズ指数は6月に、2019年8月以来の低水準を付け、米経済指標の悪化を示している。

  各アセットの展望は以下の通り。

ドル・円は140円でピークアウトか

野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジスト

9月末は135円。ドル・円のピークは135円−140円米経済指標が明確に悪化しつつある中で、FRBが急速な利上げを行うとしている。米国が景気後退に陥る可能性を意識せざるを得ないドル・円は利上げペースと共に米金利上昇も加速するとの期待で上がってきたが、7−9月はその状況に徐々に変化が見えてくる

三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの井野鉄兵チーフアナリスト

日米金利差や金融政策の方向性の違い、日本の貿易赤字がドル・円相場のテーマとして変わっていない予想以上に強い雇用統計や消費者物価指数(CPI)がポイントに。7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合での利上げをまたぐ中でもう一波乱もあり、140円を狙う局面があるかもしれない9月に入れば、インフレ鈍化やガソリン価格の落ち着きに目が向きやすくなる。米長期金利も上がりづらい状況が続き、ドル・円はピークアウトが意識されそう。9月末には135円台まで戻っている可能性も

日銀の政策修正の催促相場

大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミスト

7−9月は物価上昇がピークアウトするのかが最大の注目だが、ウクライナ戦争に終わる気配もなく、物価が思うように下がらないのではないか米債市場はリセッション風の方になびき始めているが、FRBがリセッションになってもインフレ抑制を重視すると言っている以上、利上げを続けるしかない日銀がマーケットから催促される状況が続く。そのため超長期金利は上昇していきやすい。海外金利上昇に伴って、債券市場と為替市場でのアタックも続くが、岸田政権が日銀に対する役割期待を変える方向性が見えてこないと、大きな政策転換は難しい

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラテジスト

7−9月期も日銀の決定会合に向けて海外投資家と日銀の攻防が繰り返されるだろう日銀の政策修正の催促相場で海外投資家は円安、円債売りを仕掛け、国内金利に上昇圧力がかかるが、日銀は国債無制限買い入れの指し値オペで抑えにかかろう指し値オペは引き続き10年カレント債とチーベスト銘柄を対象とし、超長期債については、日銀が10年金利によほど上昇圧力を及ぼすと判断しない限り、通常オペの増額か臨時オペで対応するだろう

東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジスト

7−9月期の長期金利の予想レンジは0.175−0.255%。日銀が10年債への指し値オペを継続するかどうかは、利回り水準次第日銀が7−9月期の買い入れで一定の増額を行った上で、米国の金利上昇が落ち着き、円安も反転してくるのであれば、やっとマーケットも徐々に正常化に向かうだろう。そろそろそういう展開も見込める日銀が市場に追い込まれる形で政策修正することは考えられない。政策修正として挙げられるのは唯一、次のフォワードガイダンスの変更で、コロナに関連した部分は近々削除されることだろう

金利変動に落ち着きあれば起債戻る

みずほ証券プロダクツ本部の小出昌弘副本部長

高速道路会社を除く社債発行総額が約3兆円になると予想備考:ブルームバーグのデータによると、前年同期は約3兆8000億円の発行があった7ー9月期も発行体の希望する条件が達成できないケースは出てくる。電力債の発行もペースダウンが予想され、昨年度並みの発行額は見込みづらい社債の需給改善には国内金利のボラティリティーが落ち着くことと、先物のヘッジ機能がしっかり回復することが必要今後は日銀の総裁人事を含む各国の金融政策や円安、金利上昇リスクに加え、原材料価格の上昇や供給サイドの制約、インフレ下での消費行動の変化などを受けたマクロ経済の動向や個別企業の信用力にもより注目が集まっていく

野村証券の荻野和馬シニア・クレジット・アナリスト

海外の長期金利にピークアウトがみられて、同時にインフレも少しスローダウンして、インフレを終息させるために金利がどんどん上がっていく状況はなさそうだとの見方が広まると国内の先高観もいったん落ち着く一方で日銀の政策変更の思惑が残るのは日本固有の要因。国内の政策のゆがみをどうにかするのかもしれないという固有の要因は残る社債のスプレッド、発行量や投資家のスタンスは金利の先高観が落ち着く分、中期ゾーンや長期ゾーンは取り組みやすくなるだろう

SMBC日興証券の吉川毅クレジットアナリスト

起債の様子見は、6月終わってからもまだ数か月は続くだろう。金利のボラティリティーがまだ落ち着かない社債の発行の延期があったが、延期した企業の調達意欲が意外に衰えていない。時期が合えば発行したいと思ってるはずただ、延期が決算や需給調査など国内のスケジュールの関係上、3−4カ月かかるため、戻ってくるにしても年末だろう

方向感定まらない株式市場

JPモルガン・アセットマネジメントの前川将吾グローバル・マーケット・ストラテジスト

市場の方向感は1回2回の景気指標で定まらない。米国の景気後退が迫っているのか、過剰な引き締めとなるのか懸念している。一番の関心はインフレメインシナリオは、7−9月期でインフレのピークアウトの起点が見えることを期待。FOMCで利上げペースを落としていくことを確認したい市場は75、50、25ベーシスポイント(bp)の利上げペースを織り込んでいるが、インフレ次第だ。インフレのピークアウトを確認できないまま、経済指標が減速レベルから後退レベルに進まないか懸念している日経平均株価の予想レンジは2万4000円−2万9000円

岡三アセットマネジメントの前野達志シニアストラテジスト

軟調な展開が続くだろう。インフレのピークアウトの見通しがつかず、FRBの金融政策の見通しもつかない第2四半期の米国内総生産(GDP)を見ておきたい。仮にマイナス成長となるとかなりマーケットは浮き足立つインフレが各国で続いており、日本でも2%のインフレ。収益を楽観できる企業は少ないのでは。下期や通期のガイダンスの下方修正を警戒する姿勢が解けない日経平均株価の予想レンジは2万5000円−2万8500円

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