(ブルームバーグ): パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は米経済が「力強い状態」にあり、FRBは堅調な労働市場を維持しながらインフレを2%に低下させることができると述べた。しかしここ数カ月、この任務は難しさを増していると認めた。

  パウエル議長は29日、欧州中央銀行(ECB)がポルトガルのシントラで開いた年次フォーラムで、経済の軟着陸は可能だとの見解を繰り返したがその達成はかなり厳しいと認めた。「米経済は実際のところ、かなり力強い状態にある」と評価しつつ、需給は現実にバランスを欠いており、インフレを低下させるためにはその均衡を取り戻す必要があると述べた。

  金融引き締めについて「成長ペースを落とし、供給が追いつけるようにすることが目的だ」と議長は説明。家計と企業の財務状況も力強い状態にあり、「米経済全般が金融引き締めに十分耐えられる状態だ」と指摘し、「成長率がプラスを維持できると期待している」と話した。

  世界が地政学的・経済的に再び分割されることは、生産性と成長率の低下を意味するとパウエル議長は指摘。ウクライナでの戦争に言及し、「この数カ月に起きた事象は、状況を著しく難しくした」と述べ、食品やエネルギーなどのインフレ圧力を大きく高めたと認めた。

行き過ぎるリスク

  FRBの金融政策が行き過ぎるリスクはあるのかという質問に対し、パウエル議長は「イエス」と答えつつ、それよりも大きなリスクはインフレを沈静化するための行動が足りないことだと述べた。

  本当の危険は高インフレが長期化し、インフレ期待が制御不能になることだと議長は指摘。その上で、現在は長期のインフレ期待が制御不能になる「状況ではない」と言明した。

金融市場

  利上げに対する金融市場の織り込み具合について、「われわれの行き先とかなり整合している」と議長は述べ、米連邦公開市場委員会(FOMC)が今月発表した予測と総じて一致していると指摘した。

FOMC、75bp利上げ−7月は75か50bpの公算大とFRB議長 (3)

  米国債利回り曲線の形状を懸念しているかと司会者に質問され、議長は「それは現時点での重大懸念ではない」と回答、米金融当局はインフレ率を低下させることに集中していると述べた。一部の年限で利回りが逆転しており、リセッション(景気後退)を示唆しているとの声がある。

 

Fed Chair Powell Says Biggest Risk Is Not Taking Enough Action(抜粋)

Fed Chair Powell Says US Economy Is ‘In Pretty Strong Shape’(抜粋)

(第7段落以降にパウエル議長の発言を追加します)

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