(ブルームバーグ): 日本銀行は向こう3カ月間の国債買い入れオペで、超長期ゾーンを増額するとの見方が市場関係者の間で出ている。海外勢からの売り圧力の影響で、残存10年超の超長期国債利回りが2016年1月のマイナス金利政策導入前の水準に達するなど、日銀のコントロールが効いている長期国債利回りとの格差が顕著になっているためだ。

  日銀は30日午後5時に、金融緩和策の主軸である7ー9月の長期国債買い入れ予定を発表する。前回の4ー6月分では、長期金利が対象になる残存5年超10年以下を月間3000億円増と最も手厚くした。同計画以外にも一時的な買い入れ増額や先物決済に使われるチーペスト(受け渡し適格最割安)銘柄を含む10年国債を無制限に買い入れる指し値オペを実施し、長期金利の上限0.25%を維持してきた。

  半面、30年物の国債利回りは1.3%近辺とこの1カ月間だけでも30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)近く上昇するなど、日銀の超長期国債利回りへのコントロールが緩かったことがうかがえる。インフレに対応して金融引き締めを進める欧米中央銀行からの金利上昇圧力が続く中、海外投資家の間では、日銀が長期金利を0.25%以下に抑えるイールドカーブコントロール(YCC)の枠組みを維持するには限界があるとの見方が根強い。

  SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは、海外勢の動きについて、「YCC修正観測で勝負するなら、日銀オペによる介入が限られる超長期ゾーンしかないということだろう」と分析する。

日銀が屈するまで日本国債をショート−ヘッジファンドのブルーベイ

  SMBC日興証券の奥村任金利ストラテジストは、「超長期債は国内投資家の買い以上に、海外勢からの売りがあって需給が軟調」と指摘。日銀が「ボラティリティー(変動率)を抑えるためにも、超長期の買い入れを増やす可能性が高い」とみている。

  日銀は21年3月に公表した政策点検で、超長期金利の過度な低下は消費者マインドにマイナスの影響を及ぼすと結論付けており、10年超のイールドカーブのスティープ(傾斜)化を許容してきた経緯がある。ただ、足元の10年物と30年物の国債利回り格差は100bpを超え、約7年ぶりの高水準にまで達している。みずほ証券の丹治倫敦チーフ債券ストラテジストは、「カーブの極端なゆがみを避けるため、超長期ゾーンへの介入姿勢を徐々に強める可能性はある」と話す。

  一方、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、「10年金利の上限0.25%という最優先課題を守ることができているので、今のところは買い入れ額を変える必要はないだろう」と指摘。超長期金利の対応については「上昇がゆっくりしたペースなら容認。イレギュラーな場合に臨時オペで対応するという姿勢。金利上昇が勢いづいたら超長期も止めにくると思うが、現状はそういう認識にはなっていないのではないか」と言う。

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