(ブルームバーグ): ドイツの建設資材メーカー、クナウフ・グループによるチヨダウーテの買収劇は、招かれざる客には敵対することで知られる日本において、企業買収を成功させるいくつかの教訓をもたらしたかもしれない。           

  クナウフ・グループは6月、チヨダウーテへの株式公開買付(TOB)を完了し、親会社となった。少数株主から株式を買い取るスクイーズアウト手続きの終了後、住宅やオフィス向けの石こうボードなどを手掛ける日本第2位の壁材メーカーの全権を握る。現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場する同社は上場廃止となる予定だ。

  クナウフは4月にチヨダウーテに対するTOBを表明。同社取締役会も賛同した。同社副社長のフレデリック・クナウフ氏(47)はインタビューで、7年間にわたり何度も話し合いを重ね、辛抱強く交渉してきたことを明らかにした。

  クナウフ氏は「力づくではない『ソフトパワー』とでも言うべき信頼の構築こそTOBを成功に導くと確信していた」という。また、同氏がクナウフ・グループ創業家の一員であったことも信頼の構築に役立ち、大切なのは長期的な視野に立ち、無意味な約束をしないと日本のビジネスパートナーに示すことだと話した。

  クナウフ・グループは石こうボード市場の大手サプライヤーの一つで、世界の同市場規模は28年までに310億ドル(約4兆2000億円)に達すると予測されている。石こうボードは壁や天井に使われる内装材。利益率の低いビジネスだが、日本では住宅の建て替えやリフォームが多く、安定した需要がある。

  クナウフ氏は、世界第3位の石こうボード市場である日本はグローバル企業にとって魅力的であり、日本市場を獲得するためには「TOBはわれわれにとって最良の方法だった」と振り返る。

静かなる買収

  大規模な企業買収のニュースは派手に取り上げられるが、クナウフ・グループによるチヨダウーテの買収は2006年に資本業務提携を結んだ後、関係を深めながら少しずつ株式を買い増し、静かに行われた。

  ブルームバーグのデータによると、最終的なTOBによる買収額は77億円。クナウフ氏によると、一連の買収のために40%のプレミアムを支払った。4日時点のチヨダウーテの時価総額は140億円。

  相手の企業を深く知り、創業者一族とも親交を温めたクナウフ氏は20年にチヨダウーテの常務に就任した。買収を通じて得た教訓について、同氏は「日本はROI(投資利益率)は非常に高いが、ROT(T:時間)は低い」と指摘。日本について学ぶと同時に、良い関係を築くために「時間がかかるということを理解しておく必要がある」と指摘した。

(3段落目の役職部分を副社長に訂正します)

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