(ブルームバーグ): テスラのファンは動揺しない。株価は35%安で2022年上期を終える見通しで、S&P500種株価指数の20%安より悪いパフォーマンスだ。しかしウォール街では魅力が薄れたからと売りを浴びせるのではなく、時価総額3500億ドル(約47兆5500億円)の消失はむしろ買いの好機とアナリストや投資家は受け止めている。

  ブランク・シャイン・ウェルス・マネジメントのロバート・シャイン最高投資責任者(CIO)は「今の株価水準は長期投資のエントリーポイントとして非常に魅力的だ」と述べた。

  イーロン・マスク氏が率いるテスラは、サプライチェーンの目詰まりや原料コストの急騰といった自動車産業共通の問題に苦しんでいる。そこに景気の世界的な減速という脅威が、テスラのように成長を前提とした企業に迫っている。

  しかしテスラの状況を際だってやっかいにしているのは、マスク氏のツイッター買収をめぐる言動だ。同氏がツイッター株9.2%を取得したことを明らかにした4月4日以降、テスラ株は37%下げている。その後1株54.20ドルで買収合意したものの、いまだに完了のめどは立っていない。

  こうした状況を背景にテスラの株価は700ドルを下回っている。しかしシャイン氏は今後1年かけて1000ドルに近づくと楽観する。サプライチェーンの問題が緩和し、バランスシートの改善が続き、マスク氏とツイッターの関係もいずれかの方向に決着するとみているからだ。

  長期投資にとってのテスラの魅力は電気自動車(EV)にとどまらないと、ループ・ベンチャーズのマネジングパートナー、ジーン・マンスター氏は指摘する。「人型汎用(はんよう)ロボットの『オプティマス』がうまくいく確率は10に一つだろう。しかし成功すればすごいことになる。こうしたことはフォードやGMでは起きていない」と述べた。

  それでもテスラ投資は万人向けではない。気が遠くなるようなボラティリティー(変動性)の高さが理由だ。世界的なリセッション(景気後退)が消費を圧迫すると予想される中、短期的にボラティリティーが収まるとは考えられない。

  今週はテスラの第2四半期納入台数が発表される。3月末から18%減少したというのが、アナリストの予想平均だ。

  グレイス・キャピタルのキャサリン・ファディスCIOは「株価が3割余り下げ、株価売上高倍率(PSR)が14倍という極端な投資尺度では、買い増しすべきか処分売りすべきか誰にも分からない」と話す。

  巨額の時価総額消失を考慮すれば、テスラ株は「買い」推奨に近いかもしれないと同氏は指摘。しかし投資家にとってのワイルドカードは、ドナルド・トランプ氏と似たマスク氏のツイート癖だという。

  「マスク氏があまりにも非合理的な言動に出なければ、株価の変動は多少は抑えられるのではないだろうか」と述べた。

 

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