(ブルームバーグ): ソフトバンクグループのビジョン・ファンドが保有する資産価値は、アナリストの分析によると、2022年4−6月期(第1四半期)に1兆円以上減少した可能性がある。出資する上場企業の株価が大きく下落したためだ。

  投資調査会社レデックス・リサーチのアナリストであるカーク・ブードリー氏が6月末の株価で試算したところ、ビジョン・ファンドの上場企業ポートフォリオは同四半期に約100億ドル(約1兆3600億円)減少したという。

  ブードリー氏は1日の取材で、動画投稿アプリ「ティックトック」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)のような「知名度の高い投資先の企業価値が下がっている可能性があり、幾つかの上場候補も実現せず、未上場ポートフォリオのバリュエーションは下がる余地がある」と指摘した。

  その上で、8月に発表される4−6月期決算は、孫正義社長がどれほど自信のある発言をしても「あまり説得力がないだろう」と予想した。

  4−6月期の出資先上場企業の株価騰落率を見ると、食事宅配の米ドアダッシュは45%安、米配車サービス大手のウーバー・テクノロジーズは43%安、韓国電子商取引のクーパンが28%安と軒並み下落。下落率は世界株式のベンチマークであるMSCIワールド指数の17%を上回った。

  中でも中国の人工知能(AI)大手で、昨年12月に香港市場に上場した商湯集団(センスタイム)は6月30日の取引だけで47%安と急落。中国テクロノジー銘柄への売り圧力が根強い中、新規株式公開(IPO)後に大株主の市場での売却が可能にあるロックアップ期間の終了が影響した。ブルームバーグの試算では、ソフトバンクGの同社株の保有価値は4−6月期に約2500億円減少している。

ソフトバンクG出資のセンスタイム株急落ー第1四半期に2500億円減少

  ソフトバンクGは前期(22年3月期)決算で、過去最大の赤字となる1兆7080億円の純損失を計上した。ビジョン・ファンドの投資先企業の価値が目減りしたためで、この流れが継続した可能性が高まっている。3月末時点のビジョン・ファンド1号の保有投資先の公正価値合計は786億ドル、2号ファンドは460億ドル。

  孫社長は6月24日の株主総会で、中国のビジネス環境について問われ、「政府の方針が影響する。どういう方針が打ち出されるのか、われわれには分かりにくいので、方針が明確になるまで無茶をしない」と発言。一方、AIを使ったユニコーン企業は単なる中小企業とは別で、「進化のためのビジョンがある」とし、新興AI企業に対する投資の有効性を強調した。

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