(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのナーゲル・ドイツ連邦銀行総裁は、域内の比較的ぜい弱な国の借り入れコストを抑制する新ツールの活用には慎重になるべきだと主張した。

  ECBはユーロ圏内の国債利回りスプレッドが拡大する、いわゆる断片化を防ぐ手段のとりまとめを加速させている。ナーゲル氏は、こうした措置は「例外的な状況で、細かく定義された条件」でのみ利用されるべきだと語った。同氏がこの新ツールについて発言するのは、ECBが作業を加速させて以来初めて。

  ナーゲル氏は国債スプレッドの拡大が正当化されるかどうかを立証するのは「事実上、不可能」だとの見解も示し、「従って、リスクプレミアムを制限する金融政策手段の活用には慎重になるよう呼び掛ける。苦境に立たされることは容易にあり得る」と語った。

  同氏はフランクフルトで開かれたイベントで、バーチャル形式で発言した。この発言後、ユーロ圏域内の主要リスク指標であるイタリア債とドイツ債の利回り格差は前週末から5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大の191bpで変わらず。前週末は7週ぶりの低水準を付けていた。

  ナーゲル氏はまた、ECBが9月に公表する次回の経済予測でインフレ見通しを再び上方修正せざるを得なくなる「可能性が極めて高い」との見方を示した。インフレ見通しが改善しない限り、「いっそう大幅な利上げが完全に適切になるだろう」とし、最終的には「緊縮的な」政策が必要になるかもしれないと警告。「この高水準のインフレとの闘いに全ての努力を集中させることが重要だ」と述べた。

  同じ会合で、デギンドスECB副総裁も同様の懸念を表明。断片化阻止の新ツールは「金融政策姿勢を妨げるものであってはならず、むしろそれを後押しし、いっそう注力できるものであるべきだ」と論じた。  

ECB’s Nagel Warns Crisis-Tool Use Can Lead to ‘Dire Straits’ (1)(抜粋)

ECB’s Nagel Warns Crisis-Tool Use Can Lead to ‘Dire Straits’ (2)(抜粋)

(第5段落以降に情報を加えます)

©2022 Bloomberg L.P.