(ブルームバーグ): 欧州連合(EU)の欧州委員会は14日発表した最新の経済予測で、2カ月前の想定と比べて生活費高騰の衝撃は大きく、長期化しそうだとの見方を示し、景気見通しは「著しく鈍化」したと指摘した。

  ロシアのウクライナ侵攻による影響などを理由に挙げ、ユーロ圏の2023年成長率予想は1.4%と、5月時点予想の2.3%から1ポイント近く引き下げた。今年と来年のインフレ率予想は上方修正し、ピーク時期の予想も先送りした。

 

  この経済予測によると、22年のインフレ率は7.6%。5月時点では6.1%を見込んでいた。23年も平均4%で、欧州中央銀行(ECB)の目標の2倍となる見通し。ブルームバーグが発表に先駆けて報じた草案の通りの内容だった。

ユーロ圏インフレ見通し7.6%に上方修正、成長率下げ−EU草案 (1)

  ジェンティローニ欧州委員(経済担当)は「ロシアの行動がエネルギーと穀物の供給を混乱させ、価格を押し上げて信頼感を弱めている」とし、ウクライナの「戦争の行方とガス供給の信頼性が不明であるため、今回の予測には高い不確実性と下振れリスクがある」と説明した。

 

  欧州委の声明によると、2カ月前に検討したリスクの多くがこの間に現実化したため、予測の修正が必要になった。

  エネルギーと食品価格の上昇が「世界のインフレ圧力を高めて家計の購買力を低下させ、従来の想定よりも急激な金融政策の対応を招いている。米国の成長減速が中国の厳密なゼロコロナ政策による経済への悪影響に加わった」と欧州委は分析した。

  予測が前提とする為替レートは22年に1ユーロ=1.06ドル、23年に1.05ドルで、パリティー(等価)付近にある現在のユーロ相場に比べ高い。ユーロ安が続けば、輸入コストを通じてインフレを押し上げ得る。

 

  欧州委は、今年後半の経済活動は弱いとの見通しを示した上で、「23年には底堅い労働市場とインフレ緩和、『復興・強じん化ファシリティー(RRF)』からの支援、依然として大きい過剰貯蓄を背景に四半期成長率は勢いを増すだろう」と予想した。

  リセッション(景気後退)リスクには言及していないが、見通し悪化のスピードは、特にロシアからのガス供給が途絶える脅威の中でリスクが顕在化していることを示している。

 

Europe’s Price Shock Will Last Longer With Less Growth, EU says(抜粋)

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