(ブルームバーグ): アジアに拠点を置く為替トレーダーによると、ヘッジファンドはドル・円のロングポジションを解消し始めた。顧客の活動について発言する権限がないとしてトレーダーが匿名を条件に述べた。ただ、機関投資家と準備金運用者による大きなフローはまだ見られないという。

  円はアジア時間28日の取引で、主要通貨に対して急上昇。一時は1%余り上昇し1ドル=135円11銭と、3週間ぶり高値を付けた。ユーロとオーストラリア・ドルに対しても同じ程度値上がりした。

  今年最も活発なマクロ取引の1つである円のショートは、リセッション(景気後退)リスクで主要な中央銀行の積極的な利上げ姿勢が後退するとの観測を背景に壁にぶつかったもようだ。日本銀行にとっては政策転換への圧力が和らぐことになる。世界に逆行する日銀のマイナス金利維持で円はドルに対し24年ぶり安値に下落していた。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が今後の政策金利動向について明確なガイダンスを控えたことを受け、27日の米国債利回りは低下した。

  マラヤン・バンキングのシニア外国為替ストラテジスト、クリストファー・ウォン氏は「米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドルロングの巻き戻しは予想外ではない」とし、133円近くまで円高が進む可能性があるとの見方を示した。「市場がある程度の世界的リセッションを予想しているなら、ドル・円相場は実際はるかに低くなるはずだ」と指摘した。

  米商品先物取引委員会のデータによると、投機家は円に対し弱気のポジションを縮小させており、同ポジションは6月末に今年の最低水準を記録。ただ、かなりのショートが残っているほか、注目される1ドル=140円を超えて円安が進むかどうかが議論される中でヘッジコストも上昇し続けている。

  超低金利政策堅持を先週表明し円一段安のリスクに直面する黒田東彦日銀総裁は、円高を歓迎するだろう。

  RBCキャピタルマーケッツのストラテジスト、アルビン・タン氏(香港在勤)は「市場が日本国債利回り上昇を見越した取引をほぼ撤回したことで、黒田総裁は先週、既に勝利を収めていた。円の反発はおまけのようなものだ」と話した。

 

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