(ブルームバーグ): 短期売買を行うファストマネーのトレーダーは、株式と債券に対する弱気ポジション約1000億ドル(約13兆3300億円)を巻き戻した。今年1−6月に上期として歴史的な大幅下落を記録した米国株と米国債両市場は最近、こうした動きの後押しで回復している。

  JPモルガン・チェースと野村ホールディングスがそれぞれ行った分析によると、商品投資顧問業者(CTA)はインフレが高進するとの読みを基に構築していた大規模なショートポジションを、この1カ月で解消した。

  こうしたトレンド追随型のクオンツは相場の方向性を定めるわけではないが、最近の動きを加速させる役割を果たす。

  S&P500種株価指数は7月に9.1%上昇し、2020年以来の大幅な月間上昇率となった。ブルームバーグ米国債指数のトータルリターンは7月にプラス1.6%。米金融当局がタカ派姿勢を和らげるとの見方が支えとなった。

  JPモルガンのストラテジスト、ニコラオス・パニギリツオグル氏は「ここ数週間に起きたことの大半はCTAに起因している可能性がある」とインタビューで語った。

  野村はCTAが過去1カ月に株式のショートポジションを540億ドル、債券を同470億ドルそれぞれ巻き戻したとの見方を示す。

  同社クロスアセットストラテジストのチャーリー・マケリゴット氏は、「『上方向のインフレ』リスクによって利益を得る取引から、『下方向の成長』リスクで利益を上げる取引に移行している。こうした新たなシフトで選好すべき資産は変化する」と指摘した。

米国株悲観後退だからこそ油断禁物、ショート解消で売り持ち再構築も

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