(ブルームバーグ): 米国のインフレ抑制には投資家の現在の想定より深く長いリセッション(景気後退)を経る必要があるかもしれないと、クレディ・スイス・グループの短期金利戦略グローバル責任者ゾルタン・ポジャール氏はみている。

  市場は消費者物価の上昇が近くピークに達し、各国・地域の中央銀行がタカ派色を薄めると織り込んでいるが、世界でコスト圧力が高止まりする高いリスクがあると同氏は顧客向けリポートで分析した。

  ポジャール氏によれば、世界は今、数十年にわたるデフレ圧力を吹き飛ばした経済戦争によって苦しめられている。デフレは中国やロシアが安価な製品・サービスを欧米などの先進国に供給してきたことで生じていた。

  同氏はこうした戦争はまさにインフレ要因で、インフレは今や循環的ではなく構造的な問題になっていると指摘。中国とロシアの変化や移民規制による労働市場逼迫(ひっぱく)、新型コロナウイルス対策による移動の減少で供給の混乱が生じていると説明した。

  ポジャール氏はその上で、供給の縮小に対応して総需要も大幅かつ持続的に圧縮するため、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は政策金利を5%もしくは6%に引き上げ、そうした金利水準に維持しなければならなくなるリスクが今生じているとの考えを示した。

  性急な利下げなどによって、インフレ再加速のきっかけとなり得る「V字型」の景気回復を招くことのないよう、「L字型」リセッションの可能性も視野に「しばらくの間は金利が高水準に維持される可能性」に言及。「『不況』と再任を犠牲にしてまでもパウエル議長がインフレを抑えるために最善を尽くすようなことがリスクだ」と論じた。

 

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