(ブルームバーグ): 米株式市場のラリーは新たな強気サイクルなのか、それとも再び蜃気楼(しんきろう)なのか。証拠が非常に多岐にわたるため、同じ会社の予測担当のプロたちでさえ意見が一致しない。世界で最も注目される経済指標の公表が迫る中、いちかばちかの賭けも同然となっている。

  エバコアISIでテクニカル分析責任者を務めるリッチ・ロス氏は、チャートのパターンやインフレのピーク、投資家心理などさまざまな要素を踏まえ、2022年の弱気相場が終了したと宣言したばかり。S&P500種株価指数の次の500ポイントの動きは上向きになると話す。

  一方、同社の株式・クオンツ担当チーフストラテジスト、ジュリアン・エマニュエル氏はさほど楽観的ではない。S&P500種が200日移動平均付近の4340を上抜けしない限り、経済・政策リスクが長引く中で新たな安値を付けやすい状況にあるという。

  方向性を左右するのはインフレ動向だ。米連邦準備制度が新型コロナウイルス禍からの景気回復支援を急いで以来、インフレの道筋を正確に予測できた人は事実上誰もいない。市場の困惑がかつてないほど高まる中、10日に7月の米消費者物価指数(CPI)統計が発表される。投資家は米金融政策の道筋や影響を見極めようとしており、ストラテジストが示す見通しは引き続き驚くほど幅広い。

  エマニュエル氏はインタビューで、「相違点に関心を向けてほしくないが、もちろん違いはある」と述べ、 「顧客は6月から7月まで全般的に弱気だったが、今最も支配的なセンチメントは実際のところ混乱の感情だ」と指摘した。

  米株式相場は4営業日連続で下落。大手半導体メーカーの新たな悲観的見通しを受け、9日にS&P500種は前日比0.4%下落し4122で終了。ナスダック100指数は1.1%安。

  エバコアの社内での異なる見解は、ウォール街でのさまざまな見方を浮き彫りにしている。ブルームバーグの最新ストラテジスト調査では、S&P500種の年末予想の最高値は9日終値から24%高を想定する一方、最低値は18%下落を予想しており、その差は過去最大規模に開いている。

  インフレ統計の発表は今年、株式投資家に優しくないイベントとなっている。消費者物価指数(CPI)はほとんど市場予想より高い数字が発表されており、S&P500種は毎回下落している。

  ブルームバーグのエコノミスト調査によると、7月のCPIは前年同月比8.7%上昇と見込まれている。約40年ぶりの高い伸びとなった6月の9.1%上昇から減速したと見られるが、連邦準備制度の2%目標をはるかに上回る。

  ヌビーンのチーフ投資ストラテジスト、ブライアン・ニック氏は、「9月と10月、11月、12月にインフレがなお大きな問題である場合、相場は恐らく今日よりも安くなるだろう」と予想。「米金融当局はインフレを打倒する決意だ」と指摘した。

 

Strategists Under the Same Roof Clash on S&P 500 Before CPI Data(抜粋)

(米CPIの予測と過去の発表日の相場変動などを追加して更新します)

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