(ブルームバーグ): この1カ月の株式相場上昇は長続きせず、ベアマーケット・ラリーに終わるとの悲観的な声が数多く聞かれた。悪い予感は往々にして的中するものだが、S&P500種株価指数がチャート上の節目付近で推移している現在、その回復を一時的と片付けるのはますます難しくなっている。

  予想より上昇幅が小さかった7月の消費者物価指数(CPI)統計は、4営業日分の相場下落を数秒で埋めた。10日のS&P500種は2.1%高の4210.24で終了。5月から6月にかけた戻しのピークである4177を上回った。この水準の克服はテクニカル分析上、上昇トレンドの「ハイヤーハイ」に相当し、持続的な上昇が控えているサインとされる。

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  BTIGのチーフ・市場テクニシャン、ジョナサン・クリンスキー氏は「これまでずっと慎重に構えてきた」とした上で、「終値ベースでの6月高値クリアは、トレンド転換を示唆する大きな役割を果たすだろう」と述べた。

  7月の米CPI統計では、2021年初期以来で初めて総合指数がエコノミスト予想を下回った。トレーダーらは即座に今後予想する利上げ幅を縮小し、リスク資産全般に一気に買いが入った。

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  S&P500種は6月安値から15%近く戻し、今年最強の回復局面となる中で、市場には時価総額5兆ドル(約670兆円)余りが戻ってきた。その背景には予想より好調だった企業決算や、リセッション(景気後退)懸念を和らげる各経済指標があった。

  この間、モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックス・グループなどが発する警告の声は大きくなっていた。ウルフ・リサーチが先週実施した顧客調査では、参加者の75%がS&P500種はまだ底入れしていないと回答した。

最近の株価上昇は続かず、再び下落も−ゴールドマンとバーンスタイン

  ルネサンス・マクロ・リサーチの共同創設者ジェフ・デグラーフ氏は先週、「S&P500種の4177突破はトレンドを追うという観点で重要だ。ハイヤーハイとハイヤーローの流れ、もっと親しみのある言い方をすればアップトレンドを確立し始めるからだ」とリポートで説明した。インスティテューショナル・インベスター誌は2015年まで11年連続で、デグラーフ氏をトップ・テクニカル・アナリストにランクしている。

  CFRAのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストーバル氏は慎重だ。S&P500種が1月から6月にかけて下げた分の半値戻しを確認するまでは、安心できないという。フィボナッチ・リトレースメントで重視する50%の戻しは、相場が完全回復に向かっていることを示唆する。

  「S&P500種が4232の水準を上回るまで、ベアマーケット・ラリーであることに変わりはない」とストーバル氏。「その水準を上回れば、いかなるベアマーケットも底値から50%戻した後にロウワーローを形成したケースはないという、歴史の教訓が思い起こされる。ベアが過去のものになったという初期のシグナルになる」と述べた。

 

(第4段落にCPIに対する反応を追加。更新前の記事で第4段落の円換算を670兆円に訂正済みです)

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