いよいよディベートだ。下がらない派は「評価を短期でやると成果がはっきりするからやる気が出る」。それに対して下がる派は、「そもそも成果目標を設定するときの合意形成の作り方に問題がある」と指摘した。

確かに、本人や会社の方針がなかなか定まらず目標が共有できていないこともある。
売り上げ目標を設定してそれを達成する、というのは分かりやすくていい。が、世の中そう簡単に行く仕事ばかりじゃないだろう。ウチみたいにソフトウェア開発の場合、「予定通りに開発スケジュールを進める」という目標にしたところで、クライアントの都合で仕様が変更になることもたびたびだ。そのたびに部下と目標をすり合わせるのは不可能に近いし、誰に責任があるか特定するのかも難しい。

お、投票タイムだ。目を閉じて、どちらに説得力があったか手を挙げる。俺も手を挙げた下がる派が11対7で1勝した。

■努力も成果に入るのか

第2ラウンドの下がらない派は、「成果主義はわかりやすい、評価基準に納得できる」、というものだ。議論になったのは努力も評価に入るかどうか。ウチの基準では「成果8割、努力2割」となっているが、努力をどのように計るか、見極めるのかはなかなか難しい。努力すればいいというものでもないし…
それに対して「下がる」派は、組織としての役割も検討すべき、という話になった。チームで仕事する場合に、大きな仕事をする人だけでなくサポートや雑務をやっている人も貢献しているのに、成果主義ではそれが評価されないのではないか、という話だ。
個人の目標を優先するがあまり、チームが非効率になってしまうと意味がない。成果を気にするあまり、ノウハウや問題を一人で抱え込まれても困る。
今度は下がらない派と下がる派が引き分けた。投票となると白熱してくる。

■合意形成をどうする

最後の討論。下がらない派は、合意形成の話を逆手にとってきた。合意形成の場を設けることで個人と会社の目標調整がやりやすくなると主張してきた。上司にしても「こういう風にしたいんだけれど、君はどうか」という話がしやすく、成果主義はモチベーションを下げるより、上げるのではないか、という。
それに対して、下げる派は、相対的な評価になってしまいがちで、いくら頑張っても評価されなかったり、成果の出しやすい部署と出しにくい部署があったりするのではないか、という意見だった。最後の投票の結果は、下がらない派が勝ち、1勝1敗1分けの引き分け。なんだか狙ったような終わり方だ。

■社内ばかりだと視野が狭まる

懇親会では、同じグループの人と大いに盛り上がった。
これまで、社外の人と飲みにいくことはほとんどなかったが、こうして会ってみると、割と話が盛り上がるのには驚いた。社内で行き詰っていたが、いろいろな会社や立場の人とディスカッションすることで、考え方があることを知ることができたことは有意義だった。
会社にずっといると視野が狭くなってしまっている。このことに気付かされただけでも有意義だった。

そういえば、盛り上がりすぎて栗栖のことをすっかり忘れてたが、あいつ、いつ帰ったんだろう…(続く)


栗栖准教授のMBA進化論
新進気鋭の経営学者・栗栖駿平多とソフトウェア会社の新米課長の久遠慎一郎。共に1972年生まれの同級生が織り成すインターネットMBA小説。経営戦略、マネジメントなど30代が直面する課題を小説で学ぶ。小説と連動した大手町ビジネススクール(OBS)も開講。

企画・編集:大手町ビジネスイノベーションインスティテュート(OBII)
ウェブの発達や社会の変化を感じたサラリーマン6人がイノベーションを考えるために立ち上げた研究会。人のつながりと多様性が新たなイノベーションの源泉であると考え、ビジネスパーソンや研究者をつなげるコミュニティプラットフォームを目指している。活動情報はブログにて。



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