最後の祭りならではの華やかさと寂しさ。今年のマックワールド(Macworld Conference & Expo)に初めて参加してそんなことを感じた。でも、それはただカリスマ経営者であるスティーブ・ジョブスアップルCEOが不在だからだとか、アップル(Apple)社そのものが参加するのが最後からということではなく、大企業によるマス・マーケティングの限界とそうした時代の変換点を肌で感じたからかもしれない。(ボクナリ 美谷広海)

■目立つ大企業の展示会離れ


  マックワールド2009の会場
マックワールドは、アップル製品に関連する製品の展示会。新製品の発表が行われることが多く、ジョブス氏による基調講演もあり、アップルファンにとって最も重要なイベントになっている。そのイベントにジョブス氏が不在(健康問題だから仕方ないのかもしれないが)というだけでなく、アップル社も今後参加しないという。
このような大企業の展示会離れは、マックワールドに限ったことでない。北米自動車ショーでは日産、スズキ、三菱が不参加だったし、東京モーターショーもビックスリーが登録期限を過ぎても参加登録を行っておらず、参加が危ぶまれている。

サブプライムローンによる世界同時不況が直背的な原因とされているが、それだけではなく大企業という組織の限界が明らかになってきているのではないか。今回、マックワールドにある試みと共に参加することによってそのように感じた。

■日本から「サムライ」が海を渡る

「日本のiPhoneアプリを世界に!」。そんな合い言葉を元に、昨年のクリスマスイブ、本郷の老舗旅館にiPhoneアプリの開発者が集まった。参加したのは、ほとんどが数名の小さな会社で個人もいた。


  サムライのパフォーマンス
アメリカのiPhoneアプリの市場規模は日本の倍以上とも10 倍以上とも言われている。しかし直接人脈がなく、日本から海外に向けてプレスリリースをメディアに対して送っても取り上げてもらうことは難しい。そこで日本のiPhoneアプリの開発者が共同戦線を張り、マックワールドに合わせてPRイベントを行い、各国のメディアにアピールしようという試みだ(参加者のうち、マックワールドに出展しているのは1社のみ。)。

マックワールドではなく、近くの会場でイベントを独自に開催し、マックワールドの出展料を支払うことなく最低限のコストで効率よく注目を集めようという「ゲリラ作戦」が実現したのは、開発者だけでなく、アップルに関する日本のオピニオンリーダー的なジャーナリストである林信行氏、現地のIT企業で働く日本人などのサポートのおかげだ。

ブログシステムを提供する米国のSixApart本社で行われたこのイベントは、サムライのパフォーマンスを行うプレゼンターも現れ盛況に終わった。筆者も友人と企画して制作した「PokéDia(ポケディア)」という日めくり手帳のプレゼンを行い、海外のメディアに向けて英語でプレゼンを行うという貴重な体験をすることができた。

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