とある土曜日の午後。銀座の上海料理店「チャンタオ」には阪神ファンが続々と集合していた。その数100名近く。神宮球場でのヤクルト戦を控え「六甲おろし」のBGMで盛り上がる店内には、ひときわ目立つユニフォーム姿の二人がいた。三輪田祥江さんと平澤里果さん。野生動 物の保護に取り組むNPO法人「野生生物保全論研究会(JWCS)」のスタッフだ。阪神ファンとNPO。この不思議な組み合わせはどうして生まれたのだろうか。


阪神ファンとNPOの不思議な組み合わせ…
JWCSは、野生生物の違法取引防止や絶滅からの保護、人間と野生生物の共存に取り組んでいるNPO。1997年から「トラ保護基金プロジェクト」を開始し、野生トラの保護活動に力を入れてきた。

アジアを中心に14カ国で分布している野生のトラ。10万頭以上いたが、この100年で95%減り、現在は5000頭を下回っている。さらに、その半数を占めるベンガルトラは、1日1頭のペースで密猟によって殺されているという。

重装備の密猟者に対抗するためには、パトロールにあたるレンジャーへの支援が不可欠とな る。JWCSでは、防寒具、寝袋(シュラフ)、ヘッドランプ、水筒などの「レンジャーキット」をセットにして提供するとともに、レンジャーを養成し、教育 するプロジェクトを支援している。



岡田監督のメッセージが入った応援メガホン。丸めて使う
「泣いとる虎は見過ごせへんで」と、趣旨に賛同した阪神タイガースの岡田彰布監督も、2006年からこの取り組みに協力。阪神がペナントレースで1勝するごとに、岡田監督個人が「レンジャーキット」1セットをポケットマネーで寄付しているのだ。

岡田監督とJWCSは、「2025PROJECT」(持続可能な地球を目指し、貧困について考えるプロジェクトなどを進めている非営利団体)の協力でつながった。

この取り組みはすでに3年目に入っている。阪神は、2006年に84勝、2007年は74勝したので、すでに158セットが監督から寄贈されたことになる。インドのNGOから監督への感謝のメッセージが届くなど、交流も始まっている。

今シーズンの阪神は絶好調で、すでに20勝。阪神が強くなれば、ベンガルトラへの支援も増える。そのためJWCSでは、阪神への応援をトラ保護活動に欠かせない重要な活動と位置づけ、地道に応援企画を続けてきた。

銀座での食事会は、NPOの活動を伝える大事な広報の場所でもあるのだ。