ミカン類のガラパゴス、喜界島は別名そう呼ばれているのだそう。島ブロガーらとの宴も佳境に入り盛り上がってきたところで、長島さんが歌を披露してくれました。幻の「けらじみかん」を歌った、その名も「けらじみかんの歌」は、子供も歌えるリズムカルな曲。なんと奄美歌謡選手権で見事最優秀賞に輝いているのです。(ボクナリ 美谷広海)


YouTubeにアップされている「けらじみかんの歌」
「ところで、けらじみかんって知っていますか?」。喜界島はミカン類に詳しい人にはガラバゴスと言われているとか。34種類の島みかんが存在し、江戸時代の品種が未だに残っていたりするそうです。

そんな喜界島のみかんの中でも最も、味が良く香りも素晴らしいのがけらじみかん。花良治(けらじ)という集落でしか採れないため、生産量も少なく幻と呼ばれ、太平洋からの潮風の影響や、水や土が生みだす、まだ皮が青いうちに食べる独特なみかんです。

「実はこのけらじみかんの歌をつくったんです」と長島さん。

東京にいた頃もボイストレーニングを欠かさず、島でバンド活動もしているという長島さんが歌を披露してくれました。かわいい振りつきで小学校に教えに行くこともあるそう。NHKに出てくる歌のお兄さんも顔負けです。(YouTubeで公開されている「けらじみかんの歌」)

「一年前くらい前にみんなであつまった時に花良治や喜界島を盛り上げるような何か、ないかな〜と話していたのがキッカケでつくったみたんですよ」

長島さんは「打ち上がる」タイプだそう。仲間で話が盛り上がっていく中で勢いが付き、いつの間にか中心になって盛り上げるタイプ。そのおかげもあって、「けらじみかんの歌」は、今では地元の夏祭りや運動会でも使われるように。仲間の応援で見事に打ちあがったようです。


三味線を披露してくれた徳成りさんと長島さん
その後、徳成寿さんこと徳さんが三味線を弾き、長島さんがそれにあわせて唄を披露してくれました。
素人には島唄はどれも同じに聞こえますが、島ごとに唄い方があるそう。現在ではリズムの速い奄美大島や徳之島の唄い方がコンテスト向きなこともあって主流になり、喜界島の唄い方はほとんどなくなってしまっているそうです。

だからこそ徳さんと長島さんは、喜界島の唄い方にこだわっているそう。「リズムが早い奄美大島に比べて、喜界島の唄い方はゆっくり。だからお年寄りでも唄えるんですよ」と教えてくれました。

「唄は元々神様のためのものだったんです。うまりかみ(島の神様である姉妹神)は男性を受け付けないため、占いは女性しかできないんです。だから、唄も高く、女性の声のように唄うんです」
華やかさはそれほど無いものの、波のような浮遊感のあるリズム。ずっと聴いていると自然と思わず居眠りしたくなるほどリラックスしてきます。

「島の人はみんな唄がうまいんですけれど、自分から唄おうとはしないんですよ」と照れくさそうに話す二人。島のことを自分たちの好きな音楽で伝え、その文化に興味を持って三味線や歌も勉強する。同世代からも見てもすごくカッコいい。


僕らの島生活
日本は7000近くの島で形作られ、本州などを除く離島のうち約400島に人が暮らしています。海に囲まれた小宇宙のようなコミュニティに残った独自性 は、画一的な大量消費から多様性が重視される時代の変化の中で魅力を増しています。離島をただ旅をするのではなく、島に生きる同世代の男性を訪ねてさまざ まな島の姿を紹介していきます。

美谷 広海(みたに・ひろうみ)
1975年フランス生まれ。小学校は富山、中高をギリシャで過ごす。引っ越し歴14回。大学在学中に佐渡島で能を演じる高校生を取材し、飛騨高山ドキュメンタリー映像祭入賞。2006年8月からブログ「世界を巡るFool on the Web」を開始。現在、IT企業の国際展開を担当。世界各地を転々としながら創作活動を続ける村上春樹的ワークスタイルが目標。


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