乙女男子の増加や、そのルーツについて考察してきた当研究所であるが、実際の乙女男子がどのような生活をしているのか、なかなかイメージしづらいという声も寄せられている。そこで今回は、中堅広告代理店で企画営業を担当する小林さん(31)の1週間の行動を見ていくことで、乙女男子の生態を探ってみることにした。オフィスでの不可解な行動も、その「乙女男子ゴコロ」が原因かもしれないのだ。

スーツをすらりと着こなす小林さんの姿は外見を見ればビジネスマンそのもの。しかし、その実態はアランジ・アロンゾ(愛・地球博のキャラクターなどをデザイン)のキャラクターとお菓子作りをこよなく愛する乙女男子なのである。

【月曜日】
出社するなり、課最年少のみゆきちゃん(24)から、「そろそろデザート食べたいな〜」とせがまれる。そういえば、以前にアップルパイをふるまってからだいぶ経つ…。来週は何か必ず作ってくることを皆に約束する。
オフィスのデザートは男子が作る、珍しいことではない。

【火曜日】
出先で小一時間程のインターバルが生まれてしまったので近くのロイヤルホストへ。ヨーグルトジャーマニーを注文しつつ、資料に目を通しプレゼン前の最終チェックを行う。
男性の仕事の合間は昔「喫茶店」、今「ドトール」が定番だが、乙女男子たるもの隙あらば甘みを摂取すべし。

【水曜日】
お昼はお弁当を休憩室で広げつつ、総務の後藤課長と保存食談義。ひとしきり盛り上がった後、ふと後藤課長が「あまりキッチンにいると嫁さんが張り合おうとするんだよね、僕の方が上手いから」と困ったように呟いた。社内の乙女男子を再発見。
「料理が出来ない(もしくは苦手)」。このフレーズはいまだに女子を呪縛しているようだ。別に女性が料理できなくてもいい、という考えが女子に通じないのが乙女男子の悩み。

【木曜日】
部長に呼ばれて指導を受ける。「君もいつまでも今のポジションでいいわけないだろう」と仕事に対するモチベーションが低いと断定される。与えられた業務は楽しいし、人並みにこなしているつもりだが、プロジェクトリーダーや課長にはなりたくない。それが部長には仕事の意欲がないように見えたのかもしれない。
出世願望は限りなく少ない。「いつか社長に上り詰める」といったオトコくさい野望は遠慮したい。

【金曜日】
ケーキ談義仲間だった榎本さん(28)の送別会を居酒屋チェーン店で。辞めた後は大学院で勉強するという。寂しさと、うらやましさから、アンニュイな気分になるが、「ラストオーダーです」という店員の声に反射的に自分だけパフェを頼んで、女子から「ずる〜い!」との声。
飲み会はデザートでしめる。それが乙女男子。

【土曜日】
女友達の買い物に付き合う。彼女イチオシのセレクトショップでステキな花柄のTシャツを見つけたのだが、Lサイズは品切れとのことで、泣く泣く断念。その後はカフェで「チェブラーシカ(ロシアの人形アニメのキャラクター)」がカワイイと小一時間盛り上がる。
ウインドウショッピングやカフェめぐりは苦ではない。むしろ好き。

【日曜日】
カノジョを連れてホットヨガでリラックス。その後は自宅でまったり。そろそろ交際期間も2年を過ぎ、そこはかとなくプレッシャーを感じてもいる。結婚をしても乙女男子でいられるのかな?月曜日に約束したデザートは杏仁豆腐にすることにした。味見をしてもらったところ、「オイシイ♪」とのこと。カノジョの舌は信用に値する。明日は自信をもって皆に食べて貰えそうだ…


乙女男子の一週間を見てきたが、どことなく思い当たる節があるなら隠れ乙女男子の可能性がある。オフィスでお菓子を振舞う、女性の買い物に喜んで付き合うなどは、日常の姿だが、従来の男子の行動とは違った点も多く、男度100%の管理職から見ると不可解な行動と受け取られがちだ。まだまだ社会的に認知されていない乙女男子だけに、オフィスには隠れ乙女男子が多数眠っていることが予想される。「部下の気持ちが分からない」と嘆く管理職にとっては、乙女男子ゴコロを理解することも重要なテーマとなりそうだ。
 
 

乙女男子研究所
カワイイもの、オイシイもの、ファンシーなもの大好きな「乙女男子」が増えている!?当研究所では、「男らしさ」に縛られない新しい男子のライフスタイルを社会・文化と絡めつつ探求して参ります。

ふじい りょう(Parsley)
1976年東京都生まれ。埼玉の団地育ち。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物」らしく』にてメディア、カルチャー、ネット情報を題材に運営している乙女男子。好きな食べ物はプリン。ハマっているのは『桜蘭高校ホスト部』。 


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