島の情報を得るなら、まず役場へ。東京などの都会では想像できませんが、地方都市にいけば役場は地域の情報ハブとして重要な役割を果たしています。そこで、喜界の情報をホームページで発信している企画課電算係である福島さん(30)を訪ねました。システムやネットワークの管理をしていると、時には庁内の「コピー機の調子を見てくれ」から、町の人々からの「パソコンがネットに接続できない」といった相談が寄せられ、「島の何でも屋ですねー」と苦笑い。(ボクナリ 美谷広海)


  福島さん
喜界町役場は、近代的な建物。今まで訪ねてきた島でなかったような立派な建物です。

福島さんは小学校まで北海道で過ごしたあと、喜界島に渡ってきました。その後、鹿児島で高校を卒業し、1年間専門学校に通ったあと島に戻ってきました。

町の役場に入って今年で11年目。「若手は少ないんじゃないですか?」と聞いたところ、「結構若い人もいますよ」とのこと。

福島さんの仕事は「電算係」ですが、ホームページの更新、システムやネットワーク管理だけでなく、PCの指導、ユーザーサポートなどもこなしています。年配の方からは機械のことなら福島さんというイメージがついているらしく、「コピー機の調子をみてくれ」と言われることも。

町の人々からは「パソコンがネットに繫がらない」といった、都会では考えられない問い合わせもあるそうですが、それも役場が生活に密着して、頼られている証拠。役場の仕事にはやりがいを感じているそうです。

役場の仕事として喜界島の情報を発信している福島さんのお父さんも、ネットの世界ではちょっとした有名人。喜界島の不思議という蝶の情報サイトを運営しており、蝶に関心を持つ人々から注目されています。

最初は島の紹介をするだけだったサイトですが、「海を渡る蝶」アサギマダラ蝶に関心を持ち、日々アサギマダラの近況を発信しています。アサギマダラは長野県から台湾まで2000キロを移動して、喜界島にも立ち寄ります。喜界島はアサギマダラや金色のサナギになる「南の島の貴婦人」と呼ばれるオオゴマダラの生息する蝶の聖地。蝶ファンには見逃せない島なのです。福島さんのお父さんは、空港近くの小道を「中里 アサギマダラ ロード」と名付けて、観察を続けています。

この蝶を観察するために台湾からも人が訪れることはあるそうですが、「観光だけでは厳しいですね。海をアピールしても、いまさら他の島に勝てないです」。

喜界島の産業を聞いてみたところ、古くから農業に力を入れているそう。有名な島みかんの他、白ごまの生産地は日本で一番。その農業で成り立つ島にとって最も大事なのが水資源の確保。そのために巨大な「地下ダム」があると言う話に…

「地下ダム!」調査不足で島にあることを初めて聞いて、興味津々。さっそく福島さんに地下ダムの事務所に電話してもらい、取材を受けていただけることに。さすが地域の情報ハブ。役場のパワーを実感しながら、レンタカーを地下ダムに向かって走らせました。


僕らの島生活
日本は7000近くの島で形作られ、本州などを除く離島のうち約400島に人が暮らしています。海に囲まれた小宇宙のようなコミュニティに残った独自性 は、画一的な大量消費から多様性が重視される時代の変化の中で魅力を増しています。離島をただ旅をするのではなく、島に生きる同世代の男性を訪ねてさまざ まな島の姿を紹介していきます。

美谷 広海(みたに・ひろうみ)
1975年フランス生まれ。小学校は富山、中高をギリシャで過ごす。引っ越し歴14回。大学在学中に佐渡島で能を演じる高校生を取材し、飛騨高山ドキュメンタリー映像祭入賞。2006年8月からブログ「世界を巡るFool on the Web」を開始。現在、IT企業の国際展開を担当。世界各地を転々としながら創作活動を続ける村上春樹的ワークスタイルが目標。


 変化の時代を新たなスタイル・価値観で生きる30代男子をつなぐコミュニティメディアです