土曜日の朝、ジェットフォイルで五島列島の福江島に着くと、港には長崎に向かおうとする地元の人で行列ができていました。都会からは観光地として紹介されることが多い五島ですが、休日になると島を訪れる人よりも島から都会へ出かけようとする人のほうが多いとのこと。イメージと異なる島の厳しい一面が到着と同時に見えてきました。(ボクナリ 美谷広海)


 
長崎から早朝ジェットフォイルで五島に向かいます。狭い湾内に造船所がひしめいている長崎港から沖合にでると後は一直線、100キロを85分で到着します。
福江島は、国内で11番目に大きな島で周囲が322.1キロあります。人口は約4万3000人。船から見える姿も今まで訪れた島とはかなり趣きが異なり、スケールの大きな島です。

下船すると桟橋から港のターミナルビルの中まで続く長い行列が待っていました。土曜の午前中ということで、島内から長崎に遊びに行く人の列のようです。

ジェットフォイルの料金は片道7070円(2009年4月からは6410円)と原油価格上昇による調整金990円が加算されているため、かなりの高額。島発の往復割引券も販売されていますが、それでも10000円以上します。当然家族で出かけるのであれば、交通費だけで数万円の出費ですが、それにも関わらず多くが島を「脱出」するのです。


 
これまでに訪れた島であれば、船から降りる人はせいぜい十数人。生活雑貨や食料を港におろしたり、逆に魚を積み込んだりという風景でしたが、ここでは島を出て行こうとする人の列がありました。

観光地というイメージが強かった五島ですが、土日は島に来る人よりも島から出て行く人のほうが多く、島の人口は休日のほうが少ないのかもしれません。
その後、島内で会った人からも、共通して五島での景気の悪さや過疎化の問題、そして島での娯楽がないため土日は福岡や長崎へと出かける人が多いということを聞きました。

今では高校生になれば、土日は長崎に遊びに行くようになっているそうです。島の人が島外に出てしまうため、地元にお金が落ちず、それが島の景気の悪化につながり、ショッピングセンターなども閉鎖、さらに娯楽が減り土日に人口が流出する、といった悪循環へと繋がっていきます。

そんな福江島で、日本でも有数の売り上げをあげている高収益店があるという話をききました。五島列島の中心のため公共機関の支所や企業の支店があり、単身赴任の人も多く、弁当チェーン店の売り上げが非常に高いのだそうです。これも観光地のイメージとはずいぶん異なるエピソードでした。


僕らの島生活
日本は7000近くの島で形作られ、本州などを除く離島のうち約400島に人が暮らしています。海に囲まれた小宇宙のようなコミュニティに残った独自性 は、画一的な大量消費から多様性が重視される時代の変化の中で魅力を増しています。離島をただ旅をするのではなく、島に生きる同世代の男性を訪ねてさまざ まな島の姿を紹介していきます。

美谷 広海(みたに・ひろうみ)
1975年フランス生まれ。小学校は富山、中高をギリシャで過ごす。引っ越し歴14回。大学在学中に佐渡島で能を演じる高校生を取材し、飛騨高山ドキュメンタリー映像祭入賞。2006年8月からブログ「世界を巡るFool on the Web」を開始。現在、IT企業の国際展開を担当。世界各地を転々としながら創作活動を続ける村上春樹的ワークスタイルが目標。


 変化の時代を新たなスタイル・価値観で生きる30代男子をつなぐコミュニティメディアです