「mixi(ミクシィ)がきっかけで、島を出ていた同級生が島外の友達を連れてきたり、帰郷する夏場にみんなが地元でDJパーティーをしたりと、以前だと起こらなかったイベントが起こり始めたんです」。取材のためにミクシィで連絡を取り、五島の福江港でお会いしたニックネーム・ウィズブーさんはミクシィがきっかけで島内に変化が起きたと言います。(ボクナリ 美谷広海)

「全く知らない同級生がいっぱいいたんですよ」。ウィズブーさんが卒業した五島高校は、離島のイメージとは異なり一学年に200人以上の生徒がいる大規模なもので、同窓生でも知らない人が多いとか。ところが、ミクシィが島に「上陸」すると、同級生とネット上で再会するだけでなく、初めて同級生だった人を知るという新しい繋がりが生まれ始めたというのです。

同じ学校を共有していたり、共通の知人がいたりと、接点を持っていても、島という限られた空間の中でも知り合わずにいた人たちがSNSがきっかけで繋がり、今ではこうした島にいた人の島外の友人と島にいる同世代の人たちの間で同窓会に近い感覚で、いろいろな集まりを行っているということでした。

「それまでは近くにいても知るきっかけが驚くほどなかったんです。狭いと思っていた島の中で知らないことがあるのに気がついたんです」

ミクシィのコミュニティがきっかけで島に住む人たちの趣味の活動が増えてきたと言います。「同世代での集まりが増えると、店を借り切っての音楽
イベントも行われるようになりました。それまでは、そういったことをしたくてもうまく知らせるための手段がなかったんです」

ウィズブーさん自身もミクシィを始めた後、以前から興味があったデジタル一眼カメラを購入して写真を始めました。「教えてくれる人もいるし、見てくれる人もいるから楽しいんですよね。以前は長崎に買い物のに行ってもそのまま帰ってくるだけだったんですが、向こうで遊べる知り合いもできました」。

離島というと濃密なコミュニティがあり、誰もが顔見知りとのイメージを抱いてしまいますが、インターネットとSNSがきっかけになり、新たな結びつきが生まれて、島が活性化しているようです。


僕らの島生活
日本は7000近くの島で形作られ、本州などを除く離島のうち約400島に人が暮らしています。海に囲まれた小宇宙のようなコミュニティに残った独自性 は、画一的な大量消費から多様性が重視される時代の変化の中で魅力を増しています。離島をただ旅をするのではなく、島に生きる同世代の男性を訪ねてさまざ まな島の姿を紹介していきます。

美谷 広海(みたに・ひろうみ)
1975年フランス生まれ。小学校は富山、中高をギリシャで過ごす。引っ越し歴14回。大学在学中に佐渡島で能を演じる高校生を取材し、飛騨高山ドキュメンタリー映像祭入賞。2006年8月からブログ「世界を巡るFool on the Web」を開始。現在、IT企業の国際展開を担当。世界各地を転々としながら創作活動を続ける村上春樹的ワークスタイルが目標。


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