とことん楽しみ、遊んで、仕事にもする。広告代理店の社員が作るシーカヤックサークル・サラリーマン「転覆隊」に出会ったことで、本業は老人ホームの経営にもかかわらず、アウトドアインストラクターをすることになったカドジュンこと門原淳一さん。人生の「脱線」は些細なことでした。(ボクナリ 美谷広海)


門原さん 
「彼らは、とことん楽しんでいた。さらに、身銭を切って遊ぶだけじゃなくて、それを雑誌の記事にして仕事にもするたくましさがあり、刺激を受けました」

門原さんの本業は老人ホームの経営。大学生のときにカヌーをした経験をがあり、バイクでオーストラリア半周したこともある、活動派でしたが、島に帰ってからは仕事が忙しく「アウトドア氷河期」だったそうですが、29歳のとき転覆隊がやってきます。

転覆隊は、カヌーの魅力に取り付かれたサラリーマンが仕事の合間に全国の川で活動するサークル。アウトドア雑誌での連載でも知られ、「サラリーマン転覆隊が行く」という本やDVDまで出しています。

2000年10月、その転覆隊と衝撃的な出会いをし、福江島の玉之浦湾で一緒にカヌーをこいだ門原さんは、五島アウトドアネットワーク(GON)というチームを仲間と結成。翌年には転覆隊の五島列島出張所に任命されます。

GONのHPを立ち上げると、趣味が合う人たちが自然と集まり、三年ほど前からは、アウトドアツアーガイドを定期的に依頼されるようになったそうです。また、全日空の機内誌「翼の王国」で紹介されたことでさらに仕事の輪が広がりました。

いつしか自然と遊ぶことが、仕事に変わっていった門原さんですが、五島に住む人でも海で泳がない人など豊かな自然を楽しんでいる人は少ないと言います。

「五島の人は遊ぶのが下手というのを転覆隊の人たちが海や山も川も精一杯楽しんで遊ぶのを見ていて気づかされました」

29歳になる前はバスケを子供に教えていたくらいで、それ以外は仕事だった門原さん。転覆隊と出会い、各地に仲間が出来ただけでなく、地域で同世代の繋がりも増えたそう。
五島列島全部で140ある島を遊び倒すのがカドジュンさんの目標。「足掛け6年でシーカヤックで行ってきた福江島1週ツアーはあと30キロ」と遊びにはまだまだ続きがあるようです。


僕らの島生活
日本は7000近くの島で形作られ、本州などを除く離島のうち約400島に人が暮らしています。海に囲まれた小宇宙のようなコミュニティに残った独自性 は、画一的な大量消費から多様性が重視される時代の変化の中で魅力を増しています。離島をただ旅をするのではなく、島に生きる同世代の男性を訪ねてさまざ まな島の姿を紹介していきます。

美谷 広海(みたに・ひろうみ)
1975年フランス生まれ。小学校は富山、中高をギリシャで過ごす。引っ越し歴14回。大学在学中に佐渡島で能を演じる高校生を取材し、飛騨高山ドキュメンタリー映像祭入賞。2006年8月からブログ「世界を巡るFool on the Web」を開始。現在、IT企業の国際展開を担当。世界各地を転々としながら創作活動を続ける村上春樹的ワークスタイルが目標。


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