小学生のころ、学校でアサガオを育てたことがある人は多いのではないでしょうか。種まきに始まり、水やりや支柱を立てる作業、花の観察、種の収穫など、なかなか思い出深いものです。アサガオといえば、各地で開催される朝顔市も夏の風物詩の一つですが、コロナ禍で軒並み中止となってしまいました。

 実物を愛でることができないならばと、紹介したいのが「変化朝顔図鑑」です。変化朝顔とは、遺伝子の突然変異によって多種多様な色や形の花や葉をつけるアサガオのこと。本書にはそうした珍しい姿をした変化朝顔の写真を中心に、アサガオの歴史や遺伝の仕組み、変化朝顔の栽培方法などが収められています。

 アサガオといえば丸い花のイメージですが、変化朝顔の花の形は星形や筒状など、一見するとアサガオに見えないものも。

仁田坂 英二「変化朝顔図鑑」(化学同人)より

 もともと奈良時代に中国から薬草として伝わったアサガオは青くて丸い花だったそうですが、「動く遺伝子」とも呼ばれる「トランスポゾン」が活性化したことによって突然変異が引き起こされ、さまざまな変化朝顔が生まれたといいます。

 江戸の町人文化が花開いた文化・文政期には、園芸ブームの後押しもあり、変わった種類の変化朝顔を栽培することが大人気に。変化朝顔は、遺伝の法則など知らなかった江戸時代の人々たちの情熱の賜物ともいえます。そう思うと、やっぱり実物も見てみたくなるものです。