ドキュメント 強権の経済政策 官僚たちのアベノミクス2 [著]軽部謙介

 安倍首相の辞任表明後、「アベノミクス」の行方が注目されている。本書は、政権中枢の生々しい動きを伝えることで評価が高いジャーナリストによる〝アベノミクス報告〟の第2弾。時宜にかなった出版だ。
 安倍政権の金融政策については著者の前著を含め多くの報告や議論があるが、本書は「官製春闘」や「政労使会議」に紙幅が割かれるのが特徴だ。左派的にも映るこうした政策の舞台裏が記録されている。
 実は当初、安倍首相は民主党の支持母体である連合を嫌い、政労使会議も「気乗り薄」だったという。政権が目指す経済の好循環には「賃上げ」が欠かせないと見立てた官僚らが、その中でどう動き何を実現したのか。一方の経団連側をどう説得しようとしたのか。具体的な証言が興味深い。
 アベノミクスの看板は途中から次々掛け替えられ、賃上げも尻すぼみになった。その功罪を見極めるためにも、丁寧な検証の積み重ねが求められている。