子どもの性欲の近代 幼児期の性の芽生えと管理は、いかに語られてきたか [著]小泉友則

 今の日本では「寝た子を起こすな」的な規範が強く、性教育が不十分であるために、避妊や性病などについて子ども・若者がもつ正確な知識は乏しく、友人間やネット上のあやしい情報を信じている場合も少なくない。「子どもの性」に対するそのような見方・考え方は、歴史の中でどのように作り上げられてきたのか。
 本書は、近世後期から明治後期の広範な書籍・雑誌における「子どもの性」についての語りを分析している。そして、特に明治期における洋学の流入が医学や心理学における子どもの性欲への注目を高め、また特に女児の性的早熟が「野蛮」国の指標として位置づけられ、男児も含めて「文明」国では環境や教育の整備により抑制すべき対象とみなされていった過程を明らかにしている。
 筆者はそうした知見を現代に当てはめることには慎重である。だが、子どもについて大人が語ることの暴力性に気づくために、多くの示唆に富む書である。