「ビワハゴロモ」という昆虫をご存知でしょうか? 近年、博物館などの展示でも密かに人気だという知る人ぞ知る昆虫で、その翅の色彩から“空飛ぶ水彩画”とも呼ばれているんだとか。昆虫に詳しくない筆者ですが、「神秘の昆虫 ビワハゴロモ図鑑」の表紙を見かけて、その美しさと不思議な形に、手に取らずにはいられませんでした。

 本書は、世界で約130属900種が確認されているビワハゴロモのなかから、普通種、有名種、美麗種を中心に昆虫学者の丸山宗利さんがセレクトし、生息エリア別にまとめた一冊。ビワハゴロモの生態が謎に包まれていることもあり、解説はほどほどに、標本写真や生態写真をメインにした写真集のような図鑑です。ビワハゴロモは採集する時や標本にする際、注意しないとすぐに色あせてしまうそうですが、本書に掲載されている標本は、生きた個体の色に近いものが多いとのこと。ほぼ天然カラーで楽しめるという、贅沢な仕上がりになっています。

 なかでも翅をクローズアップした写真は見応えあり。にじみやゆらぎを感じさせる絶妙なグラデーション、やわらかい色合い、均一でないユニークな模様と、その美しさと多様性に驚かされます。

「神秘の昆虫 ビワハゴロモ図鑑」(エクスナレッジ)より

 著者の丸山さんも「そのまま洋服の意匠に採用できそう」という、ビワハゴロモの美しい翅。こんな色や模様をあしらったストールやワンピースがあったら、欲しいのは私だけじゃないはず。染織家やファッションデザイナーの皆さん、どうかお願いします……!