昔の特撮作品を愛好する者たちが、ヒーローや怪人のスーツなどの造形美術を、現代の最新技術でリアルに再現することに情熱を傾けていくドラマだ。といっても趣味的で楽しげな雰囲気は全くない。一読して、予想外の異様な緊張感に驚かされる。実際の特撮以上のリアルさを目指し、作中で「本来そうだったはず」の機能を再現しようとするあまり、彼らの作る物は本物の武器と遜色ない、法的に許容範囲ぎりぎりのレベルに達しているのだ。しかも自らを空虚なものと感じている主人公は、自分自身も厳しく「造形」する。スーツに合わせて禁欲的に絞られてやせ細り、異様に筋肉だけが鍛えられたアンバランスな肉体には、ヒーローとしてのあるべき正義の精神が充塡(じゅうてん)されている。もはや現実と虚構の一線を越えてしまったような、尋常ではない空気がただよっている。

 彼らは、もちろんそれらが真似事(まねごと)に過ぎないとわかっている。その自覚が慎み深い態度となって現れる一方、だからこそさらなる高みを求めて、ますます前のめりになっていく。空想の暴力が現実へと流出しかねない不穏なものを予感させながら、ドラマは危うい綱渡りを続ける。今後の展開から目が離せない。=朝日新聞2022年8月6日掲載