中国電子商取引(EC)最大手、アリババグループの創業者である馬雲(ジャック・マー)氏の行方が分からなくなっている。10月末に上海で開かれた金融フォーラムに出席して以降、公の場から姿を消したのだ(注:その後、1月20日に自身の主催するオンラインイベントに参加し、3ヶ月ぶりに公の場に姿を見せたと中国メディアが報じた)。

「フォーラムで『時代錯誤な政府規制が中国のイノベーションを窒息死させる。中国の金融当局は“老人クラブ”』と痛烈に批判したことが、習近平国家主席を刺激したようです。そもそも大株主に江沢民元国家主席の孫が名を連ねるとされるなど、アリババは江氏と近い。習氏としては、上海閥を仕切る江氏への資金の流れを断ち切りたかったのでしょう。馬氏は現在、当局に拘束されているとも囁かれています」(金融関係者)


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 事実、11月3日、突如として5日に予定されていたアリババ傘下の金融会社「アント・グループ」のIPO(新規株式公開)が中止に追い込まれてしまう。上海・香港両市場への同時上場で時価総額32兆円を超える史上最大のIPOとなるはずが、一気に巨額マネーを消失した形だ。

「さらに中国当局は12月24日、独占禁止法違反の疑いがあるとしてアリババ本社の家宅捜索に踏み切った。アリババの株価は307香港ドル(10月28日)から、224香港ドル(1月8日)へと大幅下落しています」(同前)

 この状況に気が気でないのは、アリババ株の約25%を保有する筆頭株主ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義社長だろう。単純計算で、5兆円が吹き飛んだことになる。